93(大介Side) ページ43
涼太の言う通り、確かにさっきのウイスキーとは違い、こちらの方はどこかフルーティーで飲みやすい気がした。
大介「美味しいな……」
涼太「フルーティーでしょ？これはさっきのやつとはピートの主成分にも違いがあって。」
涼太のお酒うんちく大会は彼が満足するまで長時間続けられた。
彼はひとしきり話し終えて満足すると、徐に立ち上がってフラッとお手洗いに消えてしまった。
俺は眠気で目をパチパチ瞬かせながら、ぼんやりと彼が飲み残したグラスを見つめる。
グラスの淵には彼が口を付けた跡が残っていて、なんだかおいしそうである。
目の前にマスターが居なければ、こっそり口付けていたことだろう。
「佐久間さん」
不意に声が掛かり、顔を上げるとマスターが爽やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。
俺が素直に「わっ」と驚くと、彼はクスクスと笑い声を零す。
「涼太さんのグラスが気になりますか？」
大介「え」
突然図星を突かれたので、俺は酔いが醒めたような心地がして身震いした。
大介「そ、そんなことは……」
「ここだけの話ですけどね？」
俺が言い訳を言おうと必死に頭をフル回転させていると、マスターが口元を掌で隠し、俺の耳元で囁く。
「彼は、このお店には気に入られた方しかお連れにならないですよ」
マスターの言葉に俺は耳を疑った。
大介「そっ、それはほんとですか？」
「ええ。以前お連れになっていたのはご家族の方、それから高校生の時からずっと連れ添ってらっしゃる恋人の方。私が覚えている限りではそれくらいです。だから私はてっきりお二人は特別な関係にあるとばかり思っていましたが。」
大介「そっ、そんなんじゃないです！俺達はただの……」
涼太「何の話ですか？」
不意に聞き慣れた声がして振り向けば、お手洗いから帰ってきて少しばかり理性を取り戻した涼太が背後に立っていた。
大介「りょぅたぁ……」
俺は生きた心地がしなかった。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
