87(亮平Side) ページ37
翌日、目を覚ますと既に朝は過ぎて昼になっていた。
眩しさで細い目を更に細め、己の体温で温まった布団の中でグズグズしていたが、時計を見て、勢いよく起き上がる。
亮平「し、しごと！」
長く寝ていた名残でだるい体を奮い起こし、急いでベッドから降りた。
少々頭が痛い気がするが、昨夜よりは随分楽になっている。
今からでも仕事先に連絡して仕事に行こうとスマホを開くと、画面に「日曜日」の文字を見つけ、思わず笑ってしまった。
亮平「休みかよ……」
日曜なら絵画教室も休みなので、蓮も家に居るはずだ。
彼の顔が見たくなったのでまた上体を起こして、部屋を出た。
リビングに行くと、思った通り蓮がソファーにだらりと座ってテレビを観ていた。
彼のために買ってきた塩味のポップコーンを口に放り込み、熱心にテレビに意識を向けている。
亮平「おはよう。」
そっと声を掛ければ、蓮はパッチリとした丸い目をこちらに向け、さらに大きくさせた。
蓮「もう大丈夫なんですか？」
亮平「うん！もうすっかり！」
彼はポップコーンの袋をテーブルに置き、パンパンと手を叩きながら俺の傍まで来る。
蓮「こっちに座ってください。」
彼はそう言って彼が先ほどまで占拠していたソファーに俺を座らせると、そっと掌を俺の額に沿わせた。
彼の手はひんやりとしていて、気持ちがいい。
蓮「まだ熱いじゃないですか。」
亮平「そんなことないよ、蓮の手が冷たいだけ。どっかに体温計があったはずだからそれで計ろ？」
確かここら辺の引き出しに入れていた筈だ。
あちこち引き出しを探して体温計を見つけると、それを脇に差し込んだ。
暫くするとピピピッと安っぽいデジタル音が鳴り、それを取り出して、俺は片方の眉をくいっと上げた。
37.1℃。
普段よりは若干高いが、許容範囲だ。
亮平「ほら、見てよ。熱ないじゃん！」
証明しようと蓮に体温計の数値を見せる。
蓮はそれを見て、少し戸惑ったような表情をし、それを慌てて取り繕うように目を逸らした。
蓮「なら良かったです。」
俺は彼が何かグチグチ文句でも返してくるのではないかと身構えていたのだが、予想に反して蓮は何も言ってこなかった。
俺は肩透かしを食らった気分になり、物足りなかったので、蓮のポップコーンを10個くらい奪ってやった。
それでも、彼は何一つ文句を言わなかった。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
