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冬の空気は他の季節では感じられない凛とした透明感があると思う。
とりわけ朝は吸い込んだ冷気が澄み切っていて、まるで体の邪気を打ち消してくれているように覚える。
俺は冬の朝の空気が一番好きだった。
俺が亮平の親友である翔太さんの絵画教室で働き始めて三日目になった。
三日目ともなると環境にも慣れ、道具の大体の位置や生徒たちの顔や名前も頭に入ってくる。
通勤ルートも完ぺきに覚えたし、行きと帰りの電車のホームの位置も何となく覚えた。
俺は講師用の部屋に設置された個人ロッカーにリュックと上着を預け、暇つぶしに首を回したり、手の先をブラブラと振ってみたりする。
部屋には誰もおらず、静まり返っており遠くで小鳥の声が聞こえた気がしたが、すぐに聞こえなくなってしまった。
蓮「そういや今日、知らない先生が来るんだったなぁ」
昨日帰り際に翔太さんが俺に教えてくれた。
絵画教室では画法やジャンル、年齢によってクラスが分けられ、俺以外にも数名の講師がそれぞれのクラスの担当を持っているらしい。
俺は３歳から小学生までを対象とした子供クラスの担当になったが、もう一人の子供クラスの担当講師が今日の午後から出勤してくる。
人見知りゆえ、初めて会う講師の人と仲良くできるのか、朝から内心穏やかじゃなかった。
亮平『大丈夫、大丈夫。お前は可愛いからきっと可愛がってもらえるからさ？』
そう言って緊張する俺を慰めてくれたのは、小学校が冬休みに突入したにもかかわらず、休み明けの授業の準備に追われて俺よりも早く家を出て行った亮平だ。
社交的でコミュニケーション能力の高い彼には俺のどうしようもなく心細い気持ちなど到底理解できないだろう。
蓮「はあ、憂鬱だ……」
翔太「どうした、蓮。寝不足？」
蓮「あ、おはようございます、翔太さん。」
不意に背後から呼びかけられ、俺は慌てて振り向く。
そこには燃えるような真っ赤な毛糸のマフラーを口元まで巻いた翔太さんが小さく手を振っていた。
翔太さんはボリュームのあるマフラーを指で押さえつけて、ぽってりとした大きい唇を外気に晒した。
翔太「なんだか元気なさそうだけど、大丈夫？」
翔太さんは俺を観察するようにじっと見つめ、不思議そうに眉を顰める。
俺は口の中の唾を飲み込んで、「元気です」と小さく答えた。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
