67(涼太Side) ページ17
この思いが他の人間への愛情や想いに塗り替えられてしまう時が来ることがなんだか恐ろしいものに感じられた。
自分が自分ではなくなってしまうような気がする。
まるで心臓を引き抜かれて、全く別の心臓に交換されるようなものだ。
俺の中で、亮平と俺は一心同体で、二度と出会うことの無い運命共同体のような存在なのだから。
コンコン))
不意に部屋の扉がノックされた。
面倒だと思いつつ、俺は重い体を起こして扉を開けてやる。
扉の前には、家主である彼が少し耳を赤く染めて立っていた。
ほんのり歯磨き粉のミントの匂いが香る。
大介「起こしてごめん、涼太と一緒に寝ようと思って。」
聞き間違いか？と思って俺は思わず眉根を寄せる。
涼太「は？あなたには自分の部屋があるでしょう？」
大介「ダメ？床でもいいんだ。枕はもってきたから。」
そう言って彼は右手に抱えていた枕を持ち上げて俺に見せる。
わざわざ見せてくれなくてもそんなものこっちはとっくに気付いている。
涼太「知ってると思いますけど、俺のベッドは大きくないです。」
大介「一緒に買いに行ったから知ってるよ。大丈夫、俺は意外とコンパクトだから。」
そう言って彼は俺の返事も聞かず、部屋に押しかけてくる。
俺は上手い断り文句が思いつかないまま、いつの間にか彼の腕に抱かれていた。
彼の長い腕がタコの足みたいに絡みついて離れない。
寝てる途中でトイレに行きたくなったらどうすればいいんだよ、とかってどうでもいいことを考えてやり過ごす。
俺は彼を引き剥がすのを諦め、目を閉じた。
慣れ親しんだ真っ暗闇が広がる。
でも、いつもと違う。
どんなに力を抜いても、彼の存在を感じて、彼の腕にガッシリと掴まれているせいで、逃げ出せなかった。
宮舘涼太は阿部亮平になれないまま、しっかりと重力と圧力と、彼の熱い体温を感じている。
今が冬でよかった。
案外心地が良い。
中々温まらなかった布団が炬燵みたいにぽかぽかして、すり寄ってくる彼の足の感触が気持ちいい。
大介「おやすみ、りょぉたぁ……」
彼が眠気でトロリッとした声でそう呟く。
俺はいつの間にか、気絶するように眠りについていた。
彼の腕に抱かれたままで……
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
