64(涼太Side) ページ14
そのあと、目が覚めると俺は全く知らない場所にいた。
全く知らない赤の他人がそこにいて、その男性が「ここは自分の家だ」と言った。
大介「あの時はもう、どうしようかと思ったよ。前を歩いてる人がお酒でグデングデンに酔っぱらったみたいにフラフラしててさ、自分のカバンから荷物零しながら歩いてるんだもん。しかも爽やかな早朝に。でさ、俺が『全部落としてますよ、あっちのやつ拾ってきますねー』って言って拾って帰ってきたら、その人が死体みたいに顔真っ白にして倒れてるんだよ？びっくりして俺が倒れそうになったよぉ！」
涼太「はいはい、そうでしたそうでした。」
大介「この話、涼太に何回話したっけ？」
涼太「100回は話してますね。」
―― そう、あの日カバンの荷物を拾ってくれた男性が佐久間大介なのだった。
俺が道端で気絶した後、救急車を呼んでくれたのも彼で、あの出来事をきっかけに俺たちは仲良くなり、今では二人で同じ屋根の下一緒に暮らしている。
大介「初めて会った時、涼太すっごい痩せててさ、なんか骨みたいでね、髭がすっごい生えてて、生ごみみたいな匂いがしてたよね。」
彼は仕事の帰り道にあるスーパーで買ってきた缶ビールを煽り、頬を真っ赤に染めて引き笑いする。
ああ、出た。
その弾けるような明るい笑い声。
クフッっと小さく笑う俺の”彼女”とは似ても似つかない。
彼は酔って気分が良いのだろう、俺の顔をじっと見て、嬉しそうに目を細めた。
大介「でも、別に汚いとは思わなかったな……」
彼はそう言って大きな欠伸をする。
アルコールが回って眠いのだろう、パチパチと瞬きを繰り返して目尻から涙をこぼす。
涼太「何言ってんですか、あの時が俺のピークでしたよ。風呂って概念が消えてましたから……」
何日間風呂に入らなかったとか、詳細は思い出せないが、確かよく、周りをハエが飛び回っていたことを俺は思い出す。
俺は腐った漬物か？確か当時そう思った記憶があった。
大介「そうじゃなくてさぁ、まあ涼太は知らなくていいけど。」
涼太「知らなくていいならこれ以上は聞きませんけど？」
一年前の俺は今より10キロは体重が軽く、痩せこけて頬骨がやたら際立って、髭剃りを怠った顔は真っ黒な髭で覆われて、日に当たらないから白の絵の具を塗ったくったみたいに真っ白で、髪は伸ばし放題の生ごみの匂いがする男だったのだ。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
