63(涼太Side) ページ13
自覚した瞬間、俺は体から急激に力が抜けていくのを感じた。
ピンと張り続けていた糸がパチンと切れる感じ。
緩んだ糸が風でどこかに飛んでいく感じ。
俺の身体は人形師がいなくなった操り人形のように道端にへたり込み、気付いたら地面に頬擦りしていた。
持ち主のいなくなった人形は、もう二度と動くことは無い。
――あれ、俺、なんで寝てるんだ？
考えるのもしんどくて、俺は重力に従って瞼を下ろした。
気持ちがいい。
地面に触れた部分が水で濡れていく。
そういや最近体洗ってないな……。
不思議と気分が良かった。
そのまま眠ってしまえば、全部終わる気がして。
このまま意識を飛ばしてしまえばいい。
そうすれば、いつまでも縋り続ける憐れな気持ちも、後ろ髪を引っ張り続けるあの体温も匂いも、全部忘れてしまうだろう。
次第に地面と自分の境目が分からなくなっていった。
まるで全身が地面に吸い込まれてしまうような錯覚に陥る。
俺が地面の上で思い出したのは、やはり”彼女”の顔だった。
まるで太陽のように眩しくて、綺麗に光り輝くその様子はどこか妖艶で、穢れを知らなくて、俺の愛想の無さも全てを受け止めて優しく包み込んでくれるような人。
とてもいい人だった。
二度と出会えないんじゃないかレベルで包容力のある、俺にはもったいないくらいの人だった。
――ま、結局は消えちゃったけどな……。
心のどこかで、それは違う！と天使が叫んだ。
そうだ、俺はそう思いたいだけだ。
何でも受け止めてくれるあの人に甘えて、寂しがり屋のあの人を長い間放ったらかしにして、たまにあの人の所に帰っては、あの人で「ストレス発散」をしようとしたのだから。
あの人が”離れて行った”のではなく、俺が”あの人のことをちゃんと見なかった”故に付いてきた結果がこれなのだ。
遠くなる意識の中、俺は誰かも知らない赤の他人の叫び声を遠くで聞きながら気を失った。
―― あぁ、ほら。やっぱり君は来てくれないんだね。。。
神様……
いまさら、俺がこんなことを思う資格はもう無いのですか？
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
