明けまして【後編】 ページ39
「あ、今年だったっけ…。あー…っと。
Aと母さんは知らないかな。
年越し前に、今年の一番の出来事とか、それに対する気持ち…とか、そういうのを皆の前で発表するの。」
…今年…ってことは、ここではコレが当たり前なのか。
………え、私の番とかくるのかな。…メンドクサイ…。
「……よし。
まず、今年一番の出来事は父さんが再婚したこと…かな。
……本当は、嫌だった。子連れで、しかもその子供が女って聞いたときは、尚更。」
…女が苦手…だし、前の妹が、言い方は悪いけど駄目な奴だったしね。
まあ、そう思うのも仕方がないのかも。
一回も会ったことないしね。
「……ふぅ…。
………でも、家にAが来てから、色々良い方向に動いたと俺は思う。」
司にぃが、一人一人を見る。
皆、頷いている。
司にぃは、最後に私をみた。
今まで見たことのないくらい、優しく、柔らかな笑顔で。
「………真冬も、皆の前では無理して笑顔を作っていたけど、Aがきてから、心から笑ってくれるようになった。」
昔を思い出しているのかな、何処か、遠いところをみているような目。
…でも、すぐに爽やかな笑みを浮かべ、お母さんをみた。
「…母さん。Aを、こんなに良い子に育ててくれて、ありがとう。
…………A。本当に、妹になってくれて…ありがとう。」
不覚にも、目に涙を浮かべてしまう。
…こういうのは、反則と言っても良いと思う。
私に話がくるとは思わなかったし、こんな優しい感じの司にぃは本当に久しぶりだし。
…何か裏があるのでは、と思ってしまう。
「………A。年越しの音頭、頼んでもいいかな。」
父が、私に話しかけた。
溢れそうになった涙を乱暴に袖で拭き取り、うなずいた。
「………なんでも、いいですか?」
「もちろん。」
「………では。
…私も、こんなに沢山の、個性的で優しくて…私の事を想ってくれる兄ができて、とても嬉しい…です。
お父さんも、すごい優しいし…。
今年は、とっても良い年でしたっ!!!
来年も、皆で良い年にしていけたらいいな、と思います!」
そう言ったとき、タイミング良く0時になった。
「…明けまして、おめでとうございます!!!!!
…今年も、よろしくお願いします!!」
勢いに任せて、今年もよろしく、と言ってしまった。
いや、礼儀的には良いんだけど。
ちょっと後悔したとき、皆の声が、一斉に聞こえた。
「「「「明けまして、おめでとう!」」」」
来年は、今度こそ皆で年越しできるかな。
………来年が楽しく思えたのは、今日が初めてかもしれない。
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凛(プロフ) - とても面白い小説をありがとうございました!!!!!!これからも頑張って下さい!!!!!!応援しています(*´ч`*) (2017年1月2日 22時) (レス) id: b879c51270 (このIDを非表示/違反報告)
桜野カリン@フルートの基礎練疲れたなう(プロフ) - その育成ゲーム面白いっすよね!僕の推しは首落ちてしねよりの全員です!これからも応援してます!! (2016年12月17日 11時) (レス) id: e26a6661a3 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんな兄達がほしいです!!更新頑張ってください!楽しみにしてます!! (2016年12月15日 16時) (レス) id: 082bcd4484 (このIDを非表示/違反報告)
悠里(プロフ) - とても面白いです。その育成ゲーム()ハマりますよね。伊達組とニキ推しです。精神が安定したらでいいと思うので更新頑張ってください。上からに見えるかもしれませんが、応援してます。 (2016年12月15日 11時) (レス) id: 125ff204f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈(プロフ) - とてもおもしろいです!ゆっくりでいいので頑張ってください!上からですいません! (2016年12月5日 17時) (レス) id: 81821457aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2016年8月11日 10時