私の兄達は､変わってる【歌い手】

兄による自慢大会 ページ33

No Side

妹と妹の友人が部屋に行った頃。
リビングでは、兄による自慢大会が始まろうとしていた。


「…さっき、いかさんが美味しいっていったとき
Aがいかさんに自慢の兄だからねっていってた」


すっごいイジリたくなったんだよねぇ、と爽やかな笑顔で言う司。
それに今までやっていた事をやめて反応する兄たち。


「僕だって、自慢することありますよ！！
例えば、一番最初に真冬にぃって言ってくれたり、
僕のこと一番好きな歌い手って言ってくれたり！！」


どうだ！！と言わんばかりに胸をはる真冬に、
彼方が刺さる一言を言う。


「……真冬、最初はAを拒絶してたよな？」

「…っ、くくっ…なんだっけ…
『真冬、歌』…だっけなぁ？」


ピキッ、と表情が固まった。
だらだらと冷や汗が流れでる。
もはや黒歴史である自己紹介を、司は覚えていた。
小刻みに震える手でココアの入ったカップを持つ。


「あ、い、いやぁ、結果オーライじゃないデスかね！？」


ココアを口に含み、飲み込もうとしたらしい。
見事にむせていた。


「僕は、呼び捨てだし、一番最初に誕生日祝ってもらった！！」


と、瑠璃も負けじと自慢する。
それに、彼方がまた一言。


「…兄で呼び捨てにされるって、どうなの？」


…おにいちゃん、とかの方が萌えない？と付け足した。
うぐ、と言葉を詰まらせる。


「しかも、自分から呼び捨てをご所望するなんて、ねぇ？」


彼方と司は、手を組んでいるのだろうか。
二人で弟を潰していく。

そして、次の自慢をしたのは彼方だった。


「あ、ついでに俺は一緒に寝た。」


司は一緒に寝るときにいたので特に驚きはしなかったが、
その場にいなかった弟組がわなわなと震えていた。


「なにそれ！大学組はいいよね！！
イジる要素ないもんね！！」


瑠璃が嘆くと、黒歴史を掘り返された真冬も続けて喚いた。


「何かイジる要素くださいよ！大学組ばっかりずるい！！
弱点を聞かせてくださいよ！ほら！！！」


大学組が余裕な顔をし、弟2人が嘆いているという謎の構図が完成した。

…さぁ、傍観者諸君。もうお気付きだろうか。
ただ一人、話をしていない人物がいることを。

…そう。翔太だ。

今までの話を聞いていた翔太は、限界に達したのだろう。
ついに、口を出した。


「真冬も瑠璃も、自慢できるだけいいじゃん！！
俺は自慢できることなんてなにもないんだよ！？」


哀れみの目が、翔太に降り注いだ。
…司は大笑いしていたが。

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