私の兄達は､変わってる【歌い手】

あ、やっぱり ページ17

「ありがとう。A。」


Sっ気なしの、優しい司にぃにすこしみとれた。
少し湿った唇が小さく動いた。


「…俺達の秘密はね、……」


まだ、言うことを躊躇っているみたい。
すると、ドアの方から声が聞こえた。


「……司。一人で、何言おうとしてんの…？」


彼方にぃの声だった。
少し、怒りを含んだ落ち着いた声。


「っ、あ…彼方………」


「……馬鹿。長男だからって気負いすぎ…。」



目を見開き、固まっている司にぃ。
怒られるのかな…そう思ったけど、どうやら違うみたい。
彼方にぃが、私の前のソファに座った。


「……あのね、A。よく聞いて？
Aはよく知ってると思うけど、俺達は、……




歌い手を、してる。」



不安げに瞳を揺らす、彼方にぃと司にぃ。
………真剣な話のところ悪いのですが、ひとつだけ。


「あ、やっぱりですか？」









「「………え？」」



ぽかん、と呆気にとられた表情で見られた。


「いや、あの。ちょっと前から声似てるなぁ…と思ってて…
いや、だから、なんとなぁく…その……ですね…………？？」


穴が空くくらいにみられ、言葉が後半小さくなった。
いや、だって、珍獣を見るような目で見られるのって辛くないですか？？


「………っ、はぁ……なんか、真剣になった俺達が馬鹿みたいだ……」

「……本当にねー…」


二人の肩の力が抜けたのがわかった。
すると、彼方にぃが私の左隣へ来て、衝撃発言を投下した。


「………ね、A…。
…安心したら、眠くなっちゃった…。
一緒に、寝よ……？」


もう、死にそうです。

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