2話 ページ3
放課後。
帰りのHRが終わると、俺は直ぐに教室を飛び出した。
帰ってテレビ見たい。
「……なぁ天戒!! お前バレーやらないの? 」
廊下に出ると、日向君の声。
「……やら、ない……」
「そっかぁ。あ、見学だけでも来ねぇか? 」
日向君の声は大きく、辺りに響く。
あぁ……嫌だ。皆が注目してる。
俺は首を横に振った。
「……無理……」
俺等がそんな会話をしていると。
「おい何してんだ日向ボゲェ」
「早く来ないと練習できないんだけど? 全く、何で僕まで呼びに来ないといけないの」
「あはは、澤村さんの命令だからね……」
目付きの悪い人と身長の高い人、アホ毛の人が立っていた。
「今天戒にバレー部見学来ねぇか聞いててさぁ」
その声に3人の視線が此方に向く。
……もうやだ。早く帰らせてよ。
そんな俺の思いは届かず。
「お前バレー出来んのか? 」
目付きの悪い人が、俺に顔を近づける。
「……できま、せん」
「じゃあ良いじゃん、帰ろ。てか早く来なよ日向」
時間の無駄。
そう言わんばかりの身長の高い人の態度に少し腹が立つ。
「……じゃあね、日向君」
けどこれはチャンス。
俺は日向君に手を振って、直ぐにその場を離れた。
「……早く帰ろ」
靴箱で上履きから下履きに履き替える。
体育館前を横切り、校門に向かおうとすると。
「……にゃぁ」
辺りにそんな声が響いた。
「……にゃぁ? ……猫……」
注意深く辺りを観察すると、近くの茂みが揺れる。
隙間からひょこ、と猫が顔を出した。
白の毛並みに青の瞳。美人、否美猫? そう呼ぶに相応しい見た目。
「……どうしたのかにゃ、迷子かにゃ……? 」
声をかけると、白猫は頷く。
「んなー」
「そうなのかにゃ? ……けど首輪してにゃいにゃんね……」
野良とは考えられないが、飼われていた形跡も見つからない。
首をかしげつつ、美しい毛並みに手を伸ばす。ふわ、とした柔らかい感触。
「気持ちいいにゃんね……」
「……ﾌﾌ」
白猫をもふりたおしていると、後ろから小さな声。
聞かれたか。恐る恐る振り返る。
「……あ、ごめんね。……悪気はないの、ただ可愛いなって……」
思って。
そう告げる彼女こそ、"可愛い"という言葉が似合う。……いや"美しい"かな。
確かこの人は、清水潔子さん。
1年でも話題の3年生の先輩だ。
「……いえ……」
膝についた土を振り払いながら立つ。
白猫は俺の腕におさまったまま。
連れて帰ろう、よしそうしよう。
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紅雄 - めっちゃ良きです！！！これからもがんばってください! (2019年9月18日 18時) (
レス) id: 64fc749647 (このIDを非表示/違反報告)
卯月葵(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張って下さい！ (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3411144c18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無音響 | 作成日時：2019年6月14日 20時
