57話 ページ7
「落ち着いた？」
私の隣の椅子に座って手を握ってくれていたゾムさんが俯いている私の顔を覗き込んでくる。
「は、はい。もう大丈夫です。」
私の言葉に安心した様子のゾムさんは、そっか。と言うと私の手をそっと離した。
「あ、これ。どぞ。」
私の目の前にマグカップを差し出してくれるショッピさん。
慌てて受け取ろうとする私にマグカップを落とさないようにゆっくりと渡してくれる。
「すいません…、ありがとうございます。」
そっとマグカップを受け取り、「いただきます。」と言って中身を飲む。
「おいしい…」
予想以上の美味しさに自然と言葉が出てしまった。
「やろ？それな、俺らの仲間の奴が買ってきたやつやねん。」
勝手に飲んで良かったのだろうか？とふと疑問に思ったが、そんな私の顔を見たショッピさんが、「好きに飲んでいいって言われてるんで、大丈夫っスよ」と声をかけてくれる。
私がゾムさんに抱きつき泣いてしまった後、私に土下座をする勢いで謝ってきたショッピさん。
私も悪かったので。と何度も説得してやっと今のように喋ってくれるようになったのだ。
誤解も解けたようで良かったなぁと考えていると
「あーー帰るの面倒やな。ここに住もうかなぁ。」
と伸びをしながらゾムさんが呟く。
「何言ってんスか。…まぁ、帰りたくはないっスね。書類整理とかもありますし…はぁ」
ツッコミながらもショッピさんもゾムさんの言葉に同意をしているようだった。
マグカップを持ちながら二人の様子を覗き見する。
様子からするとゾムさんは幹部だと知っているがショッピさんも上の立場の人だと分かった。
「あ、俺ちょっと吸ってきます。」
「ん〜。」
タバコを取り出したショッピさんは私にぺこりと頭を下げ外に出て行こうとする。
「あ、気にしないで中で吸ってください！私なら大丈夫です。」
ショッピさんは私の言葉を聞いて目を丸くすると「あぁ」と声を出しクスリと笑う。
「ちょっと連絡もあるのでついでにっスよ。大丈夫っス。」
じゃあ。と外に出て行くショッピさんを目で追う。
気を遣わせてしまった…と少し落ち込んだ瞬間、ぐいっと腕を引っ張られる。
「きゃっ…！どうしました？ゾムさん…？」
私の腕を引っ張ったゾムさんを見るとムスっとした顔で私を見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
成瀬 - わあああああああああ！更新嬉しいです！でも更新ゆっくりで大丈夫ですよ!更新されるだけで嬉しいので( ´ω`)これからも頑張ってください!楽しみにしてます！! (2019年8月18日 22時) (
レス) id: 1c8c0eeede (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 更新をとても楽しみにしていました! 私の大好きな推しが幼なじみの設定で、見つけた途端に発狂してしまいました… これからも楽しみにしています! 頑張ってください! (2019年8月18日 2時) (レス) id: ed8d61f0bf (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - ^黒ω猫^様、そらまめ様》感想ありがとうございます。完全な不定期更新で申し訳ございません。今後も読んで頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。 (2019年8月17日 21時) (レス) id: ffa34a5a29 (このIDを非表示/違反報告)
そらまめ - すっごく面白く一気に読んでしまいました！ 更新頑張ってください！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 04a77244fd (このIDを非表示/違反報告)
^黒ω猫^ - 面白いですね。魔女系好きになりました！ (2019年6月27日 16時) (レス) id: f1451596cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リンク | 作成日時：2019年1月13日 11時
