居心地と記憶 ページ19
・
気持ちよさそうに眠ってしまったAちゃん。
ほんのちょっと目の下にクマができていたから、寝不足だったのかもしれない。
俺の肩にちょこんと頭を乗せて、スヤスヤと眠る。
長い睫毛だな、と凝視していた自分が急に危ない奴に思えて、誰にも見られていないか辺りを見回した。
ホッ、大丈夫そう。
行きつけのカフェで顔見知りになってから、ほぼ毎日のように会うようになった彼女。
大きな瞳でキョロキョロと捜しているのは俺かな?と少し自惚れながら、ほら俺はここに居るよとわざと分かりにくい場所に座ってみたり。
そして俺が「こんにちは」と声をかけると、花がパッと咲いたように笑って傍に寄ってきてくれる。
俺が花で、君は蝶のようだよね。
仕事前の囁かな楽しみになっていた。
大したことは話してないんだ。彼女の習い事の話や、大学の話。
俺の仕事の話や、休みの日は最近飼い始めたインコと過ごしてる話とか。
名前がレインボーローズなんだって言えば、「おお!」と何故かキラキラしてたけど。
だいたい皆笑うんだけど、Aちゃんは笑うどころか「ロイヤルですね!」と嬉しそう。
お嬢様っぽいから、こういう響きが好きなのかもしれない。
とまあ、俺が仕事が休みで行かない日や、彼女が大学が休みで来ない日を除けばだいたい会って話をする。
そんな日々がひと月程続けば、少し俺の中では気持ちの変化というものが現れる。
彼女といると楽しい。純粋に彼女の話が面白いのもあるし、彼女の纏う雰囲気が自分の波長と合うのかもしれない。
そう思うようになって、気が付けば俺もカフェへ入る時、無意識に彼女の姿を捜すようになっていた。
居なければ彼女が来た時に俺が見つけやすい場所に座り、もし彼女が先に居れば「こんにちは」と声を掛けた。
ほんのりと頬を染めてくれるのが可愛い。
一生懸命、俺の話に相槌を打ってくれるのも可愛い。
そうやっているうちに思い出したのは、彼女が言っていた子供の頃の話で、うる覚えだけど確かに子供の頃、翔太ンとこの家族と俺のとこの家族と行った遊園地。
その遊園地で小さな女の子に会った記憶が薄らと蘇った。
もう本当に忘れていたけど、そういえばその子は迷子で泣くのを必死に耐えながらご両親を捜していたようなって。
それで俺が声をかけたら、大きな瞳からボロボロと涙を零したから慌てた俺は赤い風船をあげたんだ。
.
3675人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、ありがとうございます(o^^o) (2021年2月15日 6時) (レス) id: e8b4c75977 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 楽しみにしてます☆ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様、ありがとうございます!素敵と言ってもらえてホッとしてます。終始不安なまま書いていたので。出ましたね(笑)キューピットさん。私も彼を必ず登場させる使命感に駆られてます(笑)残り2名も頑張りたいと思います! (2021年2月10日 9時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさん、完結おめでとうございます。舘様、素敵でした!そして出たっ、キューピットふっかさん。やはり彼が出ないと(笑)残りの二名も楽しみにしてます! (2021年2月10日 0時) (レス) id: 59fd607722 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ayaさん» aya様、コメントありがとうございます。私の書く舘様大丈夫でしたか(汗)1度始めた連載は必ず終わらせるのが目標なので、このシリーズも必ず最後まで書こうと思ってます。期待してくださって嬉しいです。その期待を裏切らないように頑張ります!! (2021年2月9日 21時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月8日 16時