#Dragon Fang...6 ページ8
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完全に開けられた、大きな扉。
バキッ!...という限りなく破壊音に近い音が、聞こえる。
「おいおい、まさかお前、取っ手壊してないよな?高かったんだぞそのドア〜!?」
...などと主が嘆いていた気がしなくもないが、
今は、そんなことより。
微妙な距離で呆然と立ち尽くす男に、目を奪われていた。
『...っ......』
赤茶色の髪、金色の瞳、褐色の肌。
___左腕に彫られた、倶利伽羅竜。
ぶっきらぼうで無愛想な顔を、今は驚きと困惑色に染めたそいつは。
確かに私が知っている___、
『____伽羅、か?』
「...あ、...蒼...」
何も言えない。
...何も出来ない。
両者ともまったく動けないままなのを見て、空寧は笑いながらこう言った。
「ま、ドッキリってヤツだな!大倶利伽羅、たまにはお前にもこういう驚きが必要だろ?
...って、何か鶴丸みたいな台詞になっちまったが...、ん?おーい、二人とも聞いてるかー?」
主の声も、どこか遠くで聞こえる。
確かに「聡い」とは言われた。
しかしお墨付きのところ悪いが、そこまで完全に状況を読めるような刀じゃない。
さて、どうしたものか__、
こちらが動かなければ、向こうも動かないだろう。
そう、思っていたのだが。
ヤツはカツカツと靴音を立ててこちらに近寄り、私の目の前で、ピタリと止まった。
『な、...何だよ...?』
「.......」
動いたはいいけど、何も言葉を考えてなかった___、
ヤツの瞳が、そう言った気がした。
.......はぁ...?
こいつ、頭より先に体が動くタイプじゃなかったと思うんだが。
『...おい___、...むぐ』
「.......」
『...!!?なっ、何を!』
考えることは、どうやらとっくに放棄しているらしい。
ぐに、ぐに、と。
伽羅は一心に、私のほっぺたを横に引っ張ってみたりつ潰してみたりするのだった。
...何だこいつ!!?
明らかにおかしいんじゃないか。
こんなこと、昔の伽羅はしなかったぞ!
こっちまで調子が狂ってくる。
いよいよ抵抗できないまま、三十秒ほどなされるがままにされていると。
「...わ....る...」
『...は?』
「さわれる...、お前に...」
『......あ、...そ、そっか...。良かった、な』
その小さな一言で。
ぐちゃぐちゃになっていた頭が、一気に冷めた。
____そうだ。
昔は、こういう人間の体が無かったから...。
こうして触れることも、出来なかったんだもんな。
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*紫苑*(プロフ) - 瑠色さん» ご指摘していただきありがとうございました!早急に直しました。おっしゃる通りですね...以後気を付けますが、もしまたこのような事がありましたら、遠慮なくコメントしてください! (2019年2月18日 19時) (レス) id: 9bd0eaa6f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠色(プロフ) - 失礼します。そねさんは長曽祢虎徹です。蜂須賀さんも虎「徹」です。
細かいですが、銘は大切なものなので、気をつけてください。 (2019年2月18日 1時) (携帯から) (レス) id: 04ea405d06 (このIDを非表示/違反報告)
*紫苑* - 月夜桜さん» コメントありがとうございます!刀剣乱舞の伊達組メインのお話って意外と少ないですよね〜。作者による作者の為の俺得小説とはまさにこれですが、それでも伊達組沼に共感してくださる方がいて、とっても嬉しいです(≧▽≦)頑張ります! (2018年9月27日 6時) (レス) id: 9bd0eaa6f6 (このIDを非表示/違反報告)
月夜桜 - すごい面白かったです!伊達組メインとか俺得!これからも更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 19時) (レス) id: d530b8b740 (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - 喧嘩上手の戦上手の…………喧嘩はわからんが、うちは薬研が一番レベル高いよ。 (2018年9月4日 19時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*紫苑* | 作者ホームページ:http://twitter.com/wakagi415
作成日時:2018年8月18日 20時