20話 ページ22
中也side
鼻に薬品の臭いが通る。医務室であることは直ぐに分かった。左手に温もりを感じ、重い瞼を開き、左手の方を見る。
「A…」
Aが眠っていた。顔色は悪く、目元は、少し赤くなっていた。
あまり良い姿勢では寝れていないようだった。
俺は起こさないようにベットの上にAをのせ、
自分が何をしていたのかを思い出そうとする。
昨日、任務に出てよく分からない言葉を発した遠までは覚えている。だが、その先の記憶が全くと言っていいほど思い出せない。
「ハァ…」
Aに心配掛けちまったなぁ…。俺は頭をかいた。
…血なまぐせぇ。風呂に入るか。
シャワーを浴び、風呂から出る、20分程時間が経っていた。
「ーー」
「ーー?!」
近くで声が聞こえてきた。だが、なんと言ってるかは聞き取れない。
シャワー室をでて、医務室のドアを開けた。
「お兄ちゃん!?」
今にも泣きそうなAが俺の胸のに飛びついてきた。
「A、、悪ィ」
「何処か行っちゃったのかと思った…。
無理はしないでね。」
「嗚呼。」
Aの方をチラりと見たが、まだ目に涙を溜めていた。
俺らは暫く、抱きしめたままでいた。
昨日の事は、珍しく、太宰が報告しに行ったようで、今日の俺の仕事は報告書をまとめるだけだった。
昨日の事は太宰に聞いた、如何やら、異能力を最大限に使った俺は制御が効かず、暴れていたようだ。
その日から数日がたった今、太宰と俺のコンビは不服だが、双黒と呼ばれ、黒社会最悪のコンビだと云われている。勿論、顔が割れていないので、マフィアの人間以外は双黒が俺らであることは知らない。
Aがマフィアに来てからかなりの時間が経ち、Aは大分仕事にも慣れてきたようだ、姐さんとも、仲良くやっているようで、毎日楽しそうにしている。
だが最近、気がかりな事がある。
そう、Aは誰にでも優し過ぎることだ。
Aはそりゃもう誰が見ても思う様な美人で可愛くて、彼奴の笑顔ときたらかなりの破壊力がある。
それなのに、他の男とベタベタと…
嗚呼、分かっている。此れは嫉妬だ。
其れと同時に、こんな事をしても意味が無いと分かっているから、口に出したことは無い。彼奴にとって、俺は只の兄に過ぎない。
彼奴もいずれ、誰かと恋をして、結婚…し…
殺すッ、
無理だ。彼奴にもし好きなやつが出来たとして、俺はうまく笑えるだろうか。
…何考えてんだ俺。
ふと我に返った。…
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雪見だいふく - あの、多分ねぇさんじゃなくていいあねさんです (2018年7月23日 10時) (レス) id: 45f0691588 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也 - 文スト大好きおじさん(笑)さん» 一様、はじめが黒の時代編なので与謝野先生と出会ってないっという設定何ですよ〜() (2017年8月1日 10時) (レス) id: 46346c34a6 (このIDを非表示/違反報告)
文スト大好きおじさん(笑) - 与謝野さんがいるから治る!と、思いました!でも、太宰が気づかないとは (2017年6月3日 13時) (レス) id: 69007943fd (このIDを非表示/違反報告)
蒼也 - 千さん» 有難うございます!!太宰さんも頑張ります!!次も(?)ワクワク出来るような作品が作れるよう頑張ります!! (2017年5月4日 23時) (レス) id: 805bfff9a4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也 - medaemonさん» 有難うございます!!本当に更新遅れて申し訳ないです。此れからはそんなことのないように…が、頑張ります。太宰さんのお話も頑張らせて頂きますm(*_ _)m (2017年5月4日 22時) (レス) id: 805bfff9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼也 x他1人 | 作成日時:2017年4月20日 8時