だらしない妻と神経質な夫 9

やっとだ ﾘｸ ページ20

キイチがいつもの様にカメラを構えてリビングにいる私を映してる。最近の趣味である手作りスタイの動画を撮ろうと言うことで手芸中です。隣でカンタくんがなっちゃんと遊んでる。季節は梅雨明けの6月末で、午後5時を少し過ぎた頃だった。


『なんかちょっと朝からお腹痛いんだよね〜』

キ｢そろそろかもね？｣

カ｢なっち〜楽しみだねぇ？｣

な｢う〜｣

『ここまで縫えたらもうあとは首の後ろで留めるスナップを縫い付けるだけですよ！』


スナップを取ろうと立ち上がった瞬間お腹の中で微かに弾けた感覚がした。いくらが弾けるような身に覚えのある感覚。咄嗟にお腹を抑えると、キイチもカンタくんも私を心配し始める。


カ｢どした？痛い？｣

『あ...は、破水した...』

キ｢えっ！？｣

カ｢ちょちょちょ、ちょ、ちょ、待ってて！？キイチ！なっちゃん抱っこしてて！｣

キ｢あ、分かりました！｣


破水したら超痛くなるから怖いんだよなぁなんて呑気なこと言ってる間もなく産褥パッドに染み込んでいく羊水。


『ちょっと、一応出血じゃないか確認だけしてくる』

キ｢分かった！｣


トイレまで向かうとキイチがでかい声で富永さんを呼んでる声が聞こえる。確認してみるとおりもののような少量の血液とあとは透明な羊水だ。主治医の先生にトイレで電話をかけるとすぐ来てって事だから準備しようとトイレを出た。廊下で陣痛が来て思わず壁にもたれ掛かると私を見つけたPさんが支えてくれる


P｢歩けそう？｣

『歩ける...』


リビングに半ば抱えられる形で入るとすごい勢いでカンタくんが入ってきた。


カ｢入院用意持ってきた！行こう！｣

ト｢俺ら行っていいんだっけ？｣

カ｢帝王切開にならない限り居ていいらしい！パソコンとカメラとバッテリーだけ持てばいい？｣

『充電器となっちのおやつ...』

カ｢あ、そうだそうだ。お茶も持ってこうね、あとは...｣


テキパキ準備をしてくれるカンタくんを見ると自然と安心してくる。これなら2人増えてもちゃんと育てられる。キイチは富永さんに言われて一部始終撮っててくれるらしい。Pさんとまんずに支えられ車に乗り込むと私とカンタくん、キイチ、まんずは先に病院へ。なっちゃんを抱っこしながらまんずがカメラを回してくれてる。


『ちょっと電話していい？』

カ｢父さんに？｣

『いや、あーずー』

カ｢ははっ、いいよ笑｣

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