だらしない妻と神経質な夫 6 (ページ38)

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家に入るとお父さんは香梨那～！ってすぐ抱っこしてくれて、自分がなっちゃんから離れた瞬間信じられない程の恐怖に襲われた。ガタガタと身体が震えて引き裂かれそうで怖い。勝手に目から涙が零れ落ちて、キイチとお母さんに支えられながらリビングに入った。

さっきあったことをキイチと共に説明するとあの馬鹿息子が...なんて慰めてくれた。

母｢大丈夫、落ち着いて？｣

『わた、私...カンタくん殴っちゃった...』

母｢うん、辛かったね｣

『そんなつもり...無くて、ただなっちゃん守らなきゃって...思ったら...』

母｢頑張ったね？偉いよ、なっちゃん守ったの偉い。｣

お母さんからしたら自分の大事な息子を叩かれた訳で、怒ってもおかしくないのに彼女は私を抱き締めて頑張ったね、辛かったねって声を掛けてくれた。

母｢キイチくんもAの味方してくれたんだよね、ありがとね。｣

キ｢すみません...俺もカンタさんに酷いことを...｣

『どぉしよぉ...離婚するって言っちゃったよぉ...』

本当は離婚なんてしたいはずないのに一時の怒りに任せて離婚届送りますなんて...

怖い。彼が私を必要無いと思うことが。

母｢もし離婚してもAは私達の家族だからね？家に居ていいからね？｣

父｢そうだぞ？香梨那もずっとここにいればいいからな～？｣

『ごめんなさ...い、カンタくん傷付けちゃった...』

母｢いいのよそんなの！母親として正しいことしたんだから！｣

温かいご飯食べて、一旦気持ち落ち着けようねって晩御飯を共に食べても頭をよぎるのはカンタくんの事。一緒にご飯を食べた時の事を思い出してまた涙が溢れてくる。

そんな時、ピンポーンと呼び鈴が鳴った。

母｢あらっ！よくもまあここまで来れたもんだわ！｣

怒りながらお母さんが出ていくとカンタくんの声と富永さんの声がする。キイチと共に玄関に出ていくとお母さんの雷が落ちる瞬間だったようだ。

母｢あんたねぇ！可愛い嫁さんになんて酷いことしてるの！！いい加減にしなさい！！｣

カ｢ごめんなさい...｣

母｢家に来た時Aがどんな顔してたと思ってんの！ボロボロだったのよ！あんたが守るって誓った癖に傷付けてるなんてどういうつもりよ！！｣

カ｢ほんとごめんA...｣

母｢トミーくんもごめんねほんとに...｣

ト｢いえ、すみません押し掛けてしまって...｣

ゆっくりと申し訳なさそうに近寄ってくるカンタくん。彼の胸元に思いっきり掴みかかった。