謎の骨董屋２ ページ14
「クララ、でいいわ。きっとあなたのほうが年上だもの」
クララはクスリと笑みを溢し、私の心の内を見透かすような鋭い瞳で私を見つめた。その視線と言葉にドキリとする。
この街の住人は基本的に外見で年齢がわからない。それなのに、球体関節の私が自分より年上だと判断できる材料は何か？ 観察力だけが頼りなのだとすれば、この骨董屋店主、かなりの切れ者だ。
(それなら私の正体なんてすぐにわかるだろうな……)
物思いに
「歓迎会はまた今度にしましょう。これだけでは申し訳がないわ」
「いえいえ、お気持ちだけで充分ですよ」
「そうはいかないわ。大きなケーキを作って、チキンを焼いて……そうだわ、街の皆も招待しなくちゃね」
この人、自分が料理したいだけなんじゃあ……そう思ったがあえて口には出さないでおく。料理が趣味なのは、キッチンを見ればわかる。
今いる部屋は６畳ほどの小さな部屋で、キッチンが隣接している。カウンターから見えるキッチンはどう見ても料理に慣れている人のそれで、見かけない道具や食材が並べられている。
うきうきと歓迎会の予定を語り出したクララに、私は第一印象とのギャップに驚きを隠せない。ミステリアスな雰囲気を持つ、優しい少女店主、だったのに。
(このほうが接しやすいからいいけど……)
クララの真剣な瞳を見つめ返す。
彼女は「あとっ」と言い終える前に私に正面から抱き着いた。
「──いろいろと、聞きたいことがあるの」
「！？」
その声は、ミティには聞こえないくらいの小ささで、耳元で
やはり、この少女は何か知っている。そう確信が持てた瞬間だった。
「ね、いいでしょ？」
とドレスの裾を翻しながら私に問いかける少女の顔は、フランス人形の幼いそれだ。彼女の実年齢も気になるところだが、それはまたの機会にとっておく。またの機会があれば、の話だが。
色々と思うところはあったが、クララが街の住人に言いふらすとは考えにくいので、今は墓穴を掘らないよう大人しくしているのが賢明だろう。
「お茶、美味しかったです。ありがとうございました」
「クララぁーまた来るからねぇーうぅ……」
畏まった雰囲気を保ち丁寧な言葉遣いに気を配った私とは対照的に、ミティはまるで今生の別れとも言わんばかりの大げさなジェスチャーで別れを惜しんだ。
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜！ 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました（笑） 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (
レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください！ (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです！ この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸｀*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました！ 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います！ (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜！ 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月だんご | 作成日時：2019年10月19日 12時
