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あれは夢か ページ28

「一寸、起きなッてば」

「ん……」


柔らかい手がナオミの肩を揺さぶる。ナオミは眉を寄せ、薄い瞼を震わせた。


「漸くお目覚めかい? さァ、次で降りるよ」


荷物を持った与謝野に肩を叩かれ、ナオミは周囲に視線を走らせた。

少し離れた所には赤子をあやす女性が、また別の所にはお喋りに花を咲かせる学生達が、微かに振動する車両の中で、白い蛍光灯に照らされていた。最後に、立って此方を見下ろしている与謝野と鏡花をぼんやり眺め、ナオミは先までの体験が夢である事に安堵した。


「A、起きて」


鏡花が囁きかけるように子供に声を掛ける。子供はナオミの柔らかい腿を枕にして眠っていた。道理で膝が重くて温かい筈だ。


「タイコ虫……」

「どンな夢だい」


与謝野に頬を摘まれ、もにゃもにゃ寝言を言っていた子供は目を擦りつつナオミの膝から体を起こした。列車が緩やかに停止する頃には、ナオミは自分が夢を見たこと自体忘れていた。



□□□



日焼けた畳の上で胡座をかいた敦は、「似合ってるよ」と穏やかに笑った。白いスカートを履いた子供は落ち着かなさそうに自分の足元を見つめている。


「次はこれを着て」

「まだやるのか……?」


逃走しようとする事数十回。その全てを鏡花に阻止され、とうとう夜叉白雪に羽交い締めにされた子供は流石に疲労困憊といった様子だ。敦は苦笑しつつ、広げた衣類を吟味する鏡花に話し掛けた。


「それ、ナオミさんから?」

「そう。古着を貰った。状態も良い」


女性陣が費用を出し合い、子供の為に購入した服は数着。然しそれだけでは不十分もあるだろうと気遣ったナオミが、自身の幼い頃に着ていた服や靴を沢山呉れたのだと云う。ありがたい事だ。こっそり自分の懐具合を気にしていた敦は胸の内で彼女に手を合わせた。


「スゥスゥする」

「すぐ慣れる」

「外套は上に着ててもいい?」

「……屋外でなら」


敦は壁に吊るされた灰色の外套を見遣った。


「あの外套はずっと着てるけど、何か理由はあるの?」

「そう問われるとわからなくなる。何故だ……」


「な、何かごめん……」敦は難しい顔をした子供の頭を撫で、宥めるように抱き上げた。敦自身が大柄な体躯ではない為、その動作は危なっかしくも見えるが、敦の異能は雄大豪壮の権化である。女子供の重量などで揺らぐ体幹ではなかった。


「外出は楽しかった?」

「ああ! 色んなものがあって楽しかった。芥川さんにも会ったぞ」

「また彼奴か〜……」

午前七時半→←▼縺薙l縺ッ螟「縺



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ロト - こめ(元団子)さん» お久しぶりです!最近わりと多忙でした…少し時間が空いてきたので見てみようと思えば結構更新されてて嬉しかったです!癒されました〜! (2019年8月25日 23時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ロトさん» ロトさん! お久しぶりですね! そうです娘主は奔放な子供なので自由に遊び回っては国木田さんに叱られ 最終的には追いかけ回されますw (2019年8月25日 22時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 近所迷惑(社員寮)……つまり、国木田さんの胃痛が増すんですね分かります。 (2019年8月25日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 来霧さん» やったー!ありがとうございます これからもお付き合いください! (2019年8月19日 2時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
来霧(プロフ) - 続きが!きになりすぎます!!応援していますー!頑張ってください! (2019年8月17日 0時) (レス) id: cc1c1fbc8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめ | 作成日時:2019年6月22日 21時

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