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買い物 ふたたび ページ22

美少女は何をしても絵になるものである。艶のある黒髪の美少女──谷崎ナオミは、白魚のような指を桜色の唇に当てて、武装探偵社の事務所の一点を見つめて何事かを考えていた。


「何か用か」


視線の先、複雑に絡まったあやとりを前に難しい顔をしていた子供は、ナオミを一瞥もせずに訊ねた。「前から気になっていたのですけれど、」と前置き、ナオミは子供の正面からずいっと顔を寄せた。


「Aちゃんは毎日同じ服を着ているのね」

「外に着ていく服はこれしかないからな」

「それは別に善いのですわ。私だって、制服とは云え毎日同じ格好をして此処に来ている訳ですもの。ただ……」


「ただ?」苦しげに俯き胸を押さえたナオミに、子供が続きを促すように首を傾げた。


「せめて、せめて寸法の合ったものを着て下さいませ……そのぶかぶかの外套も、襯衣も、ズボンも、大人用のものを捲り上げただけじゃない! もっと体に合った女の子らしいお洋服を!」

「い、家では鏡花の襦袢を着ている……」


すごい剣幕だ。子供はその変貌ぶりにぎょっとして後退ろうとした。


「Aちゃん」ニコ、と笑ったナオミが子供の両肩を掴む。


「お買い物に、行きませんこと?」



□□□



話は広がり、子供は与謝野とナオミと鏡花に服を見繕われる事になった。休日故、私服姿の与謝野とナオミに興味を示していた子供は、ある建物を前にして逃げ出そうとした。すかさず与謝野がその手を掴む。
引き摺られるように店内に入った子供は、今度は柱にしがみついて抵抗の意を露わにした。


「往生際が悪いですわよAちゃん」

「人が、人が多い。ここは嫌だ」

「なァに。すぐ終わるよ」


「ねェ?」与謝野はナオミと鏡花に目配せをした。旅行客や横浜の住民で賑わうショッピングモールを前に、子供は完全に警戒しきっている。頷いたナオミが膝を折って子供と視線を合わせ、優しく語り掛けた。


「そうですわよ。Aちゃんが大人しくして居れば、すーぐ終わります」

「服を何着か買うだけ。其れ丈の用」

「……本当か? 本当にすぐ終わる?」


鏡花はさっと顔を逸らしたが、ナオミと与謝野は穏やかに微笑んだ。子供はそれを良い意味で捉え、安堵したように柱から腕を離した。

与謝野の目が妖しく光り、子供からは見えない位置で不敵に笑む。
年頃の娘が集まった買い物が、たかだか数時間で終わる筈はないのである。

まが犬とその妹→←誤解だ!



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ロト - こめ(元団子)さん» お久しぶりです!最近わりと多忙でした…少し時間が空いてきたので見てみようと思えば結構更新されてて嬉しかったです!癒されました〜! (2019年8月25日 23時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ロトさん» ロトさん! お久しぶりですね! そうです娘主は奔放な子供なので自由に遊び回っては国木田さんに叱られ 最終的には追いかけ回されますw (2019年8月25日 22時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 近所迷惑(社員寮)……つまり、国木田さんの胃痛が増すんですね分かります。 (2019年8月25日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 来霧さん» やったー!ありがとうございます これからもお付き合いください! (2019年8月19日 2時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
来霧(プロフ) - 続きが!きになりすぎます!!応援していますー!頑張ってください! (2019年8月17日 0時) (レス) id: cc1c1fbc8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめ | 作成日時:2019年6月22日 21時

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