噛んで ページ7
腹に感じる重みで目が覚めた。俺に覆いかぶさっている影の正体は言わずもがな芥川である。
「なんだよぉ……」
「目が冴えた。構え」
普通に眠いのでやめてほしい。俺の腰に跨る芥川を押し退けようと手を伸ばす。あえなく手首ごと掴まれ、ぴくりとも動かせなくなってしまった。腕力で叶うわけがない。相手は戦闘に特化した黒蜥蜴の頭目だぞ。
「構え」とは言われたものの、俺はこの通り動けないしその元凶である芥川は何をするでもなく俺の上に乗っているだけだ。
数分も経てば目は暗闇に慣れてくる。朧気に映る芥川は掴んだままの俺の手をじっと見つめていた。
あ、と開かれた口が見えた。直後なま温い触感に包まれる人差し指と中指。指を上下から挟み込む硬い物。
噛まれている。芥川に、指を。
「ぎえっ」人の指先には神経が集中していて、その分敏感なのだと何処かで聞いた。つまり舌のざらざらした感触もより鮮明に感じられる。その生々しい感覚に一気に意識が覚醒する。
ちゅ、と厭に可愛らしい吸啜音まで聞こえてきて流石に真顔になった。口寂しいにしても別の紛らわせ方あるだろうに……。
□
さんざん舌先で舐られた後、名残惜しそうにして指は解放された。外気に触れた指がひんやりとする。
その後芥川はあっさり俺の上から退いた。思ったより歯形がくっきり付いている指をウェットティッシュで拭きながら寝室の扉を開ける。俺は怒っているぞ。主に強制的に起床させられたことに。
俺が出ていった後に付けたのか、部屋は電灯に煌々と照らされていた。芥川は素知らぬ顔で寝台に腰掛けている。
「お前なぁ〜！ いきなり人の指に噛み付く奴があるかよ、この猛獣！」
「喰い千切りはせぬ」
奴を人懐こい大型犬だと言ったな……あれは嘘だ。気まぐれで襲いかかってくるあたりネコ科の猛獣に違いない。
「そりゃっ」かけ声を上げつつ芥川に飛びかかる。予想外だったのか芥川は呆気なく寝台に沈んだ。ふふん、油断大敵ってやつだ。少し驚いて目を見開いた後、芥川は真面目な顔で頷いた。
「ふむ、陵辱系が好みか。良いだろう」
「りょ……？ よく分からないけど違うよ」
何の前触れもなく被捕食者の立場に立たされた人間の気持ちを理解してほしいだけだ。
芥川の両肩に軽く体重をかけ首元に顔を寄せる。大きく口を開け、襟口から覗く白い鎖骨に噛み付いた。
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こめ(元団子)(プロフ) - ドロシーさん» 嬉しいです！ ありがとうございます！ (2019年10月16日 0時) (
レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ドロシー(プロフ) - 好きです。(真顔)普通に自分の好きな小説のタイプにドストライクすぎて怖いくらい好きです。もうもっとヤってもらって大丈夫っす(鼻血)これからも応援してます！更新頑張ってください！ (2019年8月9日 0時) (レス) id: 1a3258aeeb (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 鯖野郎さん» ありがとうございます どんどんヤります (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ろもざんさん» 文面にセンスがありすぎて笑ってしまいました。更新はややゆっくりですがこの先もよろしくお願いします！ (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
鯖野郎 - いいぞ もっとヤれ(真顔) (2019年5月8日 21時) (レス) id: df533e69bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作成日時：2019年1月14日 14時
