11話 ページ11
──────
「AA……お前がここにいるという事は鶴見の指揮だな？ 丁度いい、人質になれ」
「……。中尉にとって、私に人質としての価値はない」
「鶴見に効かなくても他にはどうだ？ “鶴見の豹尾”さんよ」
──“豹尾”というのは第七師団の中で広まっているAの異名だ。Aを見かける時は必ずと言っていいほど、近くには鶴見中尉がいるもので皮肉も込めて“鶴見中尉の豹尾”と呼ばれていた──
(本当に好かん呼び方だ……)
Aは息を吐く。
「私を盾に使っても追っ手の士気は落ちないぞ」
「ある事に越した事は無い。それにお前の欲しい情報は俺達とくる方が確実だぞ？ “虎穴に入らずんば……”ってな」
なんの根拠があってそう言えるのか、とAは思考を巡らせる。
そして鶴見中尉の言葉を思いだした。
『──懐に入り込めそうな時は……』
そんな機会などあるはず無いと鶴見の言葉に違和感を感じていたA。
(……鶴見中尉はこうなる事を想定していた……？)
──また一つ、気味の悪い疑惑が泉に落ち波紋を広げてゆく。
「……わかった、ついて行く。……でもここで、誰も殺すな」
思考はまとまらないまま、Aは答えた。
(不透明だが……ここは双方の思惑を利用した方が私にとっても都合がいい)
その返事を聞いてニヤリと笑い、尾形は腰を上げる。それを見た二階堂も共に動いた。
尾形は立ち尽くしたままの谷垣のところまでやって来れば歩みを止め、にこやかに彼の肩をポンと叩く。
「助かったなぁ、谷垣一等卒」
さっきまでの緊張感からは考えられない朗らかさでそう言うので不気味さを覚えるA。
「あぁそうだ、ところで……不死身の杉元を見たか？」
その表情には既に朗らかさなど無く、鋭く谷垣を見据えている。
「奴はアイヌの子供とつるんで刺青人皮を持っている。俺が出会った場所から一番近い村がここだ」
「いいえ」
「そうか」
Aからははっきりと、口角の上がった尾形の表情が見えていた──。
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ra(プロフ) - プスメラウィッチさん» しがない字書きにコメントありがとうございます🙇とても元気をもらえました。実はこのサイトで文章トレスされてしまっていたようで、もうここには投稿しない方針で考えています。pixi⚫︎の方などに投稿するか検討しているのでその際はお知らせいたします (1月31日 22時) (
レス) id: e3ec8bd41f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続きの更新頑張って下さいね😆応援しています。 (1月31日 15時) (レス) @page26 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ra | 作成日時：2021年5月13日 1時
