犠牲 ページ46
「ロベール大佐です。統合参謀長閣下、何故、グーチィと仲良く談笑していたのですか？」
統合参謀長は、「はーん、こいつ聞いていたな」というような顔をすると軽く笑って警備兵を退けて大佐に詰め寄った。よくわからない行動に大佐もグーチィ大将も間の抜けた顔になった。
「聞いていたということだね？ ロベール君、どうなるかはもうわかっているね？」
その言葉と共に警備兵が殺意に満ちた眼光を大佐に向ける。今にも引き金を引きそうだ。だが、統合参謀長が耳打ちすると銃を下ろして一歩下がった。
「ロベール君、君にチャンスを与える。この無線機でマルシアル君を呼び給え。もし呼べば君を二階級特進、少将とし、勲章も与えよう。私が上手くやってやる。どうだ？ 悪い話ではないだろう？」
大佐は悩んだ。特進や勲章を欲しているのではない。拒否したとしてどうにもならない。最善の策はどうか、自分は助からない。それはなんとなくわかっていた。だから少なくとも中佐を救い、本国にこのことを訴えて貰わなくてはならない。じゃあ自分が体を張って銃弾を受け入れるしかないのだ。ならどうすべきか、その状況を作るには、そこで大佐は、嘘をつくことを決めた。さっきまで大将に嘘をついていた、今更嘘は軍人らしくないなんてどうだっていい。
「わかりました……中佐に連絡します」
「賢明な判断だ」
大佐は無線機を受け取るまで頭の中を空っぽにした。気づかれないようになんてことすら考えていなかった。向こうもある程度は警戒している、本当に空っぽにしないとあっさり看破されてしまうだけだ。
「マルシアル中佐ですか？ こちらロベール大佐です。どうぞ。おい！フォンテーヌとグーチィは組んでいるぞ！すぐに逃げ……」
轟音と共に大佐の体に風穴が開いた。それと同時に大佐は倒れた。即死だった。少尉たちは間一髪逃げ出しバレずに済んだようだが、中佐がどんな行動を取るかわからない。大佐の表情は少し無念そうだった。
「グーチィ君、もういいだろう。さあ、これから我が軍は本営を副都クリフェスに移す。輸送船の用意を要請してくれ。空軍には例の輸送船をやるんだぞ？」
「アイ、アイ、サー！」
あっという間に大量の輸送船が用意された。中には巨大客船以上に大きい輸送船があった。軍隊のものとは思えない形であった。最上部はステージになっているのか平べったかった。それに哨戒艇や大型警備艇を加えた大量の輸送船団が暗雲包む海を進んでいった。
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デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか！？ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (
レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で２カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って！！おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない！これからも精進しなくては！嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで？ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デ・ロイテル | 作成日時：2018年8月12日 0時
