奇襲攻撃失敗 ページ4
「張司令長官!念のために偵察機を出しておいた方がいいのでは? 」
「そうだな。全艦小型偵察機を出せ」
駆逐艦16隻から放たれた虫型の小型偵察機は小糠雨のように基地に降りていった。もちろん、基地の人間はそんなことを知るよしもない。目視できずレーダーにも映らない。これではどうしようもないからだ。
「使える砲はもうないか……こうなったら地下倉庫の駆逐艦を全て出すか」
「あの新鋭艦をですか?」
「そうだ。従来の艦艇では傷すらつけられなかった。今、敵の動きは止まっている。このすきに一撃を加えたら勝てるはずだ。アッバス星団軍の誇りを守るためにも駆逐艦ごときに蹂躙されるわけにはいかん」
一面焼け野原になった寂しい基地で生き残った部下に基地司令官ミシェル中将は敵への怒りを込めて命令を下していった。間も無くして、彼らの軍が密かに竣工していた超ステルス性の駆逐艦10隻が倉庫から出て行った。DD43-2と書かれた彫刻のように美しい二番艦セブール・ニオルテーズが出ると他の船も次々に出され、中将はそのうちの一隻ムルトに乗り込んだ。
「私は諸君らの活躍を期待する。星団のため、死んでも敵を食い止めよ」
中将の激励に士気も上がり駆逐隊は姿を忍ばせつつミサイルの発射準備にかかった。
「張司令長官!偵察機からの映像に我が方に忍び寄る駆逐艦を見つけました。その位置、南緯2度、西経65度、高度500メートル!」
敵艦見ユの報告を受けて張はグラスを突き上げて喜んだ。
「フハハハハそうでなくてはな。敵さんも面白いことをする。気づかないとでも思っているのかハハハ……総員戦闘配置につけ。敵のお遊びに引っ掛から無いように機関砲の準備もしておけ。重イオン砲で片付けろ」
自分たちの行動がバレているとは気づいていないミシェル艦隊は低空にとどまっていた。すでに一撃目を発して二撃目の準備にかかっていたのだ。彼らの希望を背負ってきたミサイルが護衛艦隊に着弾しようとしていた。
「ミサイル接近、迎撃せよ」
「第1、第2機関砲準備完了。テェーーーィ」
発射された弾は次々にミサイルに当たり、無残にもミサイルを破壊していった。
「いいぞいいぞ。全艦真下を向いて重イオン砲発射!」
空が一点だけ黒く染まった。やった、命中した。ミシェル艦隊の面々が山も震えるぐらいの歓声を上げたその時だった。上空から何筋もの光線が放たれミサイル装填中の艦艇に命中した。それは正確であり、誘爆により殆どの艦艇が海の藻屑と化した。
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デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか!?ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で2カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って!!おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない!これからも精進しなくては!嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで?ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デ・ロイテル | 作成日時:2018年8月12日 0時