愛吐 8 ページ10
体術のセンスは無し。作戦立案が得意だが目を見張る程のものとまではいかない。しかし、教養や礼儀はしっかりしているし何より真面目で律儀。___だがそんな構成員はごまんといるし、それでマフィアに向いているのかと聞かれたら答えは否だ。
何故彼女が幹部補佐という役職につけたのか。否、抑も何故黒蝶蛾の班長という地位につけたのか。それも、加入して1年程しか経っていない16歳の小娘が。
疑問に思うものは勿論沢山いた。と云うか何も思わないものはいなかっただろう。
彼女は1年間直接的に人を殺した事がなかった。はっきり云ってマフィアに向いていない。情を捨てられる程冷酷ではなく彼女はかなり普通の人間だったからだ。
黒蝶蛾の指揮官に選ばれた理由は、尾崎の推薦があってのことも確かにある。然し選抜会議の際に太宰も立ち会っていた。太宰も推薦したのだ。本来ならば名前を知らぬ筈の彼女に。
彼らが注目していたのはマフィアには珍しい彼女の人間性と異能力だった。
"姿ありけり"
周りのものの存在感を操る、至ってシンプルかつ単純な異能だ。暗殺としてのスキルは目覚しいものだがその他に何があるかと問われたら精々窃盗程度しか思い浮かばないだろう。
しかしそれだけではなかった。
__________
煌々とした満月が夜を照らす横浜の何処かの酒場でAと芥川は酒を酌み交わしていた。
「貴様は酒には弱い。程々にしろと云った筈だが」
『も〜、芥川君頭が固いよ』
卓上に置かれている酒瓶を見て芥川は半ば諦めたかのように目を伏せてはあ、とため息をついた。
Aはドライフルーツの入ったチョコレートを少しずつつまみながら葡萄酒を口に含んだ。
『あ〜!も〜やだ。芥川君は私の作戦無視して勝手なことするしちゅーやさんは戻って来ないし』
『なぁにが"悪ィ、もう少しかかりそうだ"なのよ!』
『私は中也さんがいなくてこんなに寂しい思いをしているのに…』
酒に弱いAはいつにも増して感情の起伏が激しい。機嫌がいいと思えば途端に怒り出し、挙げ句の果てには泣き始める。
感情表現がストレートな今、本人が目の前にいるというのにつらつらと愚痴を云うA。
そして最後には眠り翌朝記憶は無い。
(都合のいい女だ…)
芥川の気苦労など全く知らぬAは一気にグラスに注がれた酒を飲み干す。
そんな姿を見ても止めないのには理由があった。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時