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愛吐 22 ページ28

辺りの景色が変わった。場所は先ほどの交差点だった。


少女は悔しそうに歯をくいしばるとその場を走り去っていった。


『捕まえて捕虜にする必要があったのに…』

「必要ないさ。元より、これからの戦況はおおよそ私が予測できる。つまり、だ。今後君には…って!」

「あああああエリスちゃあああああああん!」

思わず耳を塞ぐ。街を歩く人々の視線を一気に集中させた彼の目線の先には愛くるしい顔の金髪の幼女がいた。

「急に消えたらリンタロウが心配すると思って」

「そうだよ…心配したよう…泣くかと思ったよう…」

もう、泣いてるのですが。だばだばと涙を流す首領を横目に私は心の中で呟いた。


エリスちゃんは私を視界に入れるとにこりと笑みを向けた。

「A!イノウ使ってるからか気づかなかったわ!こんな中年放っておいて私と遊びましょうよ!」

『エリス嬢、あんまり首領を虐めないであげてくださいね』


私も微笑んで彼女の頭を撫でた。

「それでは私達は失礼するよ」


首領と中島敦が話している。彼に抱きついているのは…鏡花ちゃんだ。勿論首領は気づいているだろうがそれを知らぬ素振りで元医者の現在は小さな寄り合いの仕切り屋中年だと話す。


…小さな、寄り合いか…と横浜一高い建物であるポートマフィアの拠点を見上げた。


「少年。どんな困難な戦局でも必ず理論的な最適解は有る。混乱して自棄になりそうな時ほどそれを忘れてはいけないよ」


首領はエリス嬢を連れて歩き去った。



「杉崎さん。彼の方とは知り合いなんですか?」

『はい。昔からの知り合いなんです』

「そうなんですね、そう云えば非番なのに何故スーツを着てるんですか?」

『これから少し用があるんです。それを片付けたら帰りますよ』

「お気をつけてくださいね!」

では、とにこやかに手を振って踵を返そうとした時だった。


「待って!」



中島敦の後ろにくっついている少女に大声で引き止められたのは。




「あの人は、櫻田A。ポートマフィアの準幹部_______!」

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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時

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