愛吐 14 ページ16
給湯室から調査員の事務室を覗く。
社長と呼ばれる彼の方がこの組織の長…か。
会社として大きいのは勿論ポートマフィアの圧勝だが首領に負けず劣らずの風格がある。
「此処に置いて下さい」
鏡花ちゃんが社長に頼み込む。
私はその様子を静かに眺めていた。
「止めておけ。元マフィアだからではない。仕事がないわけでもない。だが止めておけ。…甘い世界ではないぞ」
彼は国木田独歩…書類によると彼の持ち歩く手帳サイズのものなら具現化できる…と。
マフィアは戦闘に特化した異能が多いが探偵社は機転の利く異能が多い…云うなれば私と同じだ。
私も現に”全く無害の可愛らしい女子大生”の様に周りからは見える様に異能を使っている。私の異能は存在の濃い薄いだけではなく微量なものでも調整すれば何にでも慣れることができる。だから鏡花ちゃんも私に気づいていない。
それに気づいたのは最近で組織内では一部の人しか知らないはずだが_______
と黙々と考えているうちに鏡花ちゃんは入社がすんなり決まった様で私は素早くメールをしようと給湯室を出る。…尾崎幹部こと紅葉姐さんに。
きっとこの事を知ったら嘆き悲しむであろう。何せ紅葉姐さんは彼女を溺愛していると有名だから。
「おっと、これは失礼」
『いえ…こちらこそ…申し訳ありません』
扉を開けると丁度向かい側の人も扉を開けようとしていたらしい。一言謝り私は外へ出た。
「…今の女、見覚えが______」
__________
仕事を終え退社時刻となった。
定時…しかも16時に上がることなど早々ない。と云うか、殆どない。
よって私は涙が出そうになった。何て良心的なんだ…と。それに比べてあのブラック企業は…
この後どっち道噂のブラック企業まで報告と仕事に行かなければならないのだが。
「…あ、君。今は職場戻らない方がいいよ」
『…はい?』
「君の件については太宰に一任するとして、とにかく職場には戻らない方がいい」
此れが昨日会議室を覗き見た超推理の力。何れはバレる予定だった。此れも勿論想定内。よって、私が出る行動はただ一つだ。
『私と戦いますか?』
「ふぅん。化けの皮が剥がれたね。良いけど君、僕には勝てないと思うよ」
『いいえ。この一連の件は必ず
私はくるりと踵を返すと真っ直ぐポートマフィアへ歩き出した。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時