けじめ ３３ ページ34
『自宅謹慎、ですか…』
わざわざ呼び出すのも、ということで中原幹部直々に電話を頂いた。
「嗚呼。例のBeoneの件での手前の処罰が昨日の会議で決定した」
独断専行での謹慎処分。詳しい期間や書類については後々部下に届けさせるらしく、一先ず私はわかりましたと頷くのみだった。
「…手前、最近酷ェ顔してるぞ。ちゃんと休めよ」
『ありがとうございます…』
「…じゃあな」
『はい。失礼しました』
電話を切ると再び寝台の上に倒れるように寝そべった。
(昨日太宰幹部は確かにここにいた)
朝眼が覚めると彼はもういなかった。
唯一痕跡として残っていたのは"ありがとう"というメモと綺麗に畳まれた私が貸した洋服だった。
窓の外は嘘くさいほどの青空で何だか寂寥の念を帯びていた。
私はぎゅう、とそれを抱きしめた。
___________
虚ろに輝く繁華街にて、何処かのバーでグラスが揺れる音がした。
「で、貴方の狸寝入りは結局バレなかった…と」
仄かに木の香りとアルコールの匂いが何十年と染み付いたバーテーブルに彼らはいつもの様に並んでいた。
「彼女が純粋で助かった。随分と楽しませて貰ったよ」
「そうか。それは良かったな」
「全く…だから僕は止めたのに。櫻田さんが酷く気の毒です」
酒杯を飲み交わす青年達。立場も年齢も何から何まで違う彼らは偶然にも何晩かに一度はこうして集まっていた。
誰かが声をかける訳でもなく、ただその時だけは"友人"という立場で会うことが許されていた。
「どうも僕はここで無償残業をしているようだ。今日は失礼しますよ」
「何だ。帰っちゃうの？」
「正直なところ、ここに来て貴方がた二人と酒を飲んでいると自分が黒社会で非合法な仕事に携わっている事を忘れそうになるのです」
マスター、ご馳走様。と荷物を取り立ち上がった坂口を織田は引き止めるかのように声をかけた。
「その鞄は出張の荷物か？」
「大したものは入っていませんよ。煙草に護身用の武具、携帯雨傘…あとは仕事用の写真機くらいです」
坂口が鞄の中を大きく開いて見せたところ太宰は写真機に目を留めこんなことを云い出したのだ。
「そうだ、写真を撮ろうよ。記念にさ」
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nemucan427(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！この作品面白くて大好きです お手数ですがパスワードを教えていただけないでしょうか？ (9月1日 21時) (
レス) id: 8afaa5b029 (このIDを非表示/違反報告)
なずな(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！とても面白かったですよろしければパスワードを教えて頂きたいです (2023年3月28日 11時) (レス) id: 77590b4a4c (このIDを非表示/違反報告)
アルルの「 」 - 太宰さんの歪んだ愛し方が本当に大好きです・・・！！ (2023年3月13日 1時) (レス) @page41 id: a35ce8017e (このIDを非表示/違反報告)
嶺亜(プロフ) - 桜雪さんはじめまして!!作品とても面白かったです。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2023年2月5日 18時) (レス) @page10 id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞奈斗(プロフ) - この作品に出会ったばかりなのですが、とても面白く続きを読みたいです！パスワードを教えて頂くことは可能でしょうか...？( ˊᵕˋ ;) (2023年2月5日 8時) (レス) id: c32082b1c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜雪
| 作成日時：2018年3月29日 13時
