53 drops ページ8
*
あれから数日。
パッタリ動かなくなったAちゃんとのトーク画面に寂しさを感じていはいるけど
特に何も変わらない日々を、ぼーっと過ごしていた。
湧 ｢ふかだあ、｣
｢もー今度はなんですか湧くん！｣
湧 ｢いや、お前に客｣
｢、は？｣
湧 ｢休憩入っていいから行ってきな、なんかすげえ顔してるよそこで｣
俺に客って…。
ここ、ファストフード店ですよ？？そんなことあります？
さっきまで何度もダル絡みをされていたから、またそれだと思って振り向いたのに。
数分前のヘラヘラした顔とは違って、不思議そうな表情を零す湧くんを見ると
きっとそれは嘘ではなくて。
湧くんが親指でくいくいっ、と指す方を覗けば、
そこにいたのは、久しぶりに見た
しずくの、姿。
｢、！？わ、湧くん！！あいつ元カノで、」
湧 ｢は？元カノ？？別れたのだいぶ前じゃねーの？｣
｢そうですよ、！なんかこの前から様子おかしくて…。バイト先にまで来るとかまじでどういう神経してんの、？
あ、でもさっき休憩貰っちゃったばっかりだし、｣
湧くんが言う “すげえ顔” 、確かにしてるし
なんかもう絶対やばい。
なんのために来たのかは分からないけど、嫌な予感しかしないし。
そもそも注文すらしてないで突っ立ってるだけみたいだし、注意してすぐ帰ってもらうしかない。
だから大丈夫です、って言おうとしたのに
湧 ｢んなの俺の残りの休憩やるよ、タイムカード俺の押しな。な？｣
｢そんな、！悪いですよ、湧くん今日俺より前からシフト入ってるのに…｣
湧 ｢大丈夫だって、俺のことなんていーから。｣
｢はあ、ほんと迷惑かけてすみません。行ってきます｣
湧 ｢ん、なんかあったらすぐ来いよ｣
いつもならあとでアイスなー！とか言ってくるくせに、こういう時は絶対真面目な顔で本気で力になってくれる湧くん。
一生頭が上がんないや、、
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作者名：スイ. | 作成日時：2023年3月31日 20時
