46 drops ページ1
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A「竜生くん、シートあっち側じゃない？」
「あれ、ほんとだ。Aちゃん先どうぞ、」
映画館見たいな雰囲気の空間に、なんだかどんどんワクワクしてきた
なんて、余裕に思ってられたのはほんの一瞬だけで
隣合わせの座席に腰掛けたせいで、いつもよりAちゃんとの距離が近い。
イコール、Aちゃんの顔も、近い。
A「楽しみだね、」
「、！うん、俺初めてだからめっちゃ楽しみっす！」
A「なんか竜生くんの敬語、久しぶりに聞いたかも(笑)」
「あ、無意識に出ちゃってた(笑)」
あー、、Aちゃんと出会ってすぐの頃の俺に教えてあげたい。
今、自分の隣でAちゃんが笑ってますよって。
なんかデートしちゃってるよって。
「Aちゃんは見たことあるの？プラネタリウム。」
A「うん。昔ね、おじいちゃんといろんな所にたくさん見に行ってて。
すごく綺麗なんだよ、」
「へ〜！マジで楽しみだなあ、」
A「ふふ(笑)…あ、始まりそう」
心做しか普段よりも生き生きしている姿を見ると、本当にお祖父さんと行くプラネタリウムが好きだったんだろうな。
Aちゃんが言った通り
あっという間に会場がふわっと暗闇に包まれる。
ナレーションと共に始まった夜空の投影は、ここが会場だと忘れてしまうくらい幻想的で、美しくて。
都会のくすんだ空の下からじゃなかなか見ることのできない景色に
思わず見惚れてしまう。
夢みたいだけど、夢じゃなくて。
手を伸ばせば届きそうな煌めきも、掴めるはずはないんだけど。
ふと眺めたAちゃんの横顔は
まるでこの星空みたいに 思わず息を呑むほど、美しくて
“儚いから、綺麗なんだって さ”
なんて、いつかどこかで聴いた唄を思い出した。
Aちゃんの頬を伝う、一筋の流れ星のような涙だけは
そっと 見なかったふりをした、
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作者名：スイ. | 作成日時：2023年3月31日 20時
