43 drops ページ44
.
「え、お前らなに作ってんの？」
『てるてるぼーず！ふかだもやる？』
「は？！そんなの作ったら明日晴れちゃうじゃん！！」
着々と平日をこなして迎えた、週末1日目。
土曜日の今日は、また似合わないエプロンを身につけながら
朝から夕方まで元気なちびっ子たちに囲まれている。
『晴れてほしいから作ってるの！ママたちとお出かけしたいもーん！！』
「いや明日は雨降んなきゃダメなんですー。ほかの遊びしよ、な！！」
『なんでー！？意味わかんない！！』
純粋な瞳と疑問をぶつけられて、少し言葉に詰まる
まあそりゃそうだよね...せっかくの日曜日なんて晴れてほしいに決まってる。
でもこっちだって、せっかくのチャンスをてるてる坊主さんに邪魔される訳にはいかないんすよ…
「あ、あれだよ！！そろそろ雨降らないと学童で育ててる花枯れちゃうじゃん。
あ〜太陽だけだとお花たち可哀想だな...」
『えー.....じゃあてるてる坊主やめたらさ、ふかだもいっしょに遊んでくれる？』
「いいよ、なにする？」
そう言った途端目をキラキラさせ始めたチビちゃんたちに、心の中で大人気ないことしてごめんねってそっと謝る。
週の頭、勇気をだして送ったメッセージに返ってきたのは
Aちゃん空いてます。深田くんが良ければぜひ...!
まさかの、OKだった。
嬉しすぎてまじでどうしようって、この吹き出しを見た時は他のことを考えられなくなった
『ふかだ、ドッヂボールしよ！！』
「お、俺本気出しちゃっていいやつ？(笑)」
『だめー！投げるの利き手とはんたいね！』
「わかったわかった(笑)すぐ行くから準備してきて！
……海琉は？ドッヂボールやらん？」
ホールの方に走り出して行った子達とは反対に
ポツン、とテーブルにくっついたままの海琉。
海琉「これ描きたいから、今日はいい」
「ん、そっか。なに描いてんの？」
海琉「...今度お母さんに、渡すやつ。」
「うわ絶対喜んでくれるよそれ…！妹早く生まれるといいね」
海琉「うん。...りゅうせい、作ってあげよっか？」
「え？」
海琉「ふれふれ坊主。Aちゃんとデートするんでしょ？」
「なんで知ってんの？！」
海琉「スマホ見てニヤニヤしてたの見えた」
...じゃあもうお願いしようかな、
チビたちに混ざってボールをぶん投げながら、
明日が素敵な一日になるように、ひたすら願った
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 522人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
