31 drops ページ32
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Ryusei side
檜山 ｢ん、｣
A｢、ありがとう｣
…ギスギスしすぎ。
檜山くん、水を持ってきてくれたはいいけどAちゃんに渡したまま黙ってるし、先にカレー食べ始めちゃったし。
隣でAちゃんが怯えまくってるよ…。
｢あれ、そういえばAちゃん注文してきた？｣
A｢あ、わたし今日はお弁当で…｣
｢弁当？！自分で作ったんすか？！｣
A｢うん。そんなに上手とかじゃないんだけど、、｣
おずおずとランチバッグの中から取り出されたお弁当箱。
Aちゃんが蓋を開けたその中は、まるで宝箱の中の宝石でも見ているかのようで
綺麗なだし巻きも、ご飯の上のおかかも、全部がキラキラしてる
｢うわ美味そ！！｣
檜山 ｢お前遠足の日の小学生かよ｣
｢だって檜山くん！！見てよこれ！！｣
久しぶりに誰かが作った弁当を見て、不思議とテンションは爆上がり。
檜山くんの言ってることはごもっともで、多分今の俺は児童館のチビちゃん達くらい純粋な瞳をしてると思う。
｢いいなー、俺ぜんぜん料理とかできないんすよね｣
檜山 ｢できないじゃなくて��しない��んだろ｣
｢ちょっ！失礼だな檜山くん｣
いつも通りの檜山くんとの会話。
自分にとってはそれだけだったのに、隣から聞こえてきたのはAちゃんの小さな笑い声だった。
A｢…ふふ、｣
｢、ひ、檜山くんってばいっつもこうなんすよ！！ね？！｣
檜山 ｢誰に同意求めてんだか…。｣
素の自分たちを見て笑ってくれたことが嬉しい。
嬉しかったり楽しくなると出てくる自分のくせは、今日も待ってましたとばかりにすぐやって来て
気づけば声のボリュームも上がりだした
｢でもまじで美味しそう！俺も久しぶりに弁当とか食べたいなー。｣
大学生になってからひとり暮らしをはじめたせいで、何も言わずとも作ってもらえていた弁当は、もちろん食べる機会が減って。
開けるのが楽しみだった昼休みのワクワク感が、懐かしくてたまらない
A｢…食べる？｣
｢え？｣
A｢あ、え、！今日のはちょっと無理だけど、今度なら｣
｢まじすか？！｣
びっくりしすぎて立ち上がれば、ガタン！と音を鳴らしたテーブルの上から水の入った紙コップが転がってく
｢…！なら、連絡先 交換してください！｣
檜山くんがコップを拾いながら、ウソだろ…と
顔を手のひらで覆ったことだけは確認した
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
