だから僕は、雨ごいを。【Ryusei.F】 (ページ31)

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30 drops ページ31

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『あのね、笠原さんってね、

＿＿＿＿＿＿＿＿＿なんだって、』

『え？＿＿＿って、(笑)』

『ホントだってば！わたしぜーんぶ聞いたんだから！』

『おいほんとかよそれ、俺にも教えろ』

『それが人にお願いする態度ですか？』

『だってあんな美女にそんな噂、知りたすぎんだろ！』

『そうやって男は見た目に騙されていくんだよ、バーカ』

｢…そろそろお前ら手動かして、終わんないから、(笑)｣

ガキくさい噂話に、なんだそれ、と思ったのに
そんなわけないだろやめろよ。と横から言えなかった。

この日を境にどんどんその噂は広まってしまって、
笠原といえば、と勝手な印象がほとんどの人に植え付けられてしまった。

その、数日後

学級委員だからって理由で職員室に呼ばれて、1人で教室に戻ってた時だった

掃除が終わって、誰もいなくなった渡り廊下の隅

1人で誰にも見えないようにしゃがんでいる笠原を見たのは。

具合でも悪いのかと思って近づけば、声も出さずに泣いていて

｢ …大丈夫？｣

その姿に、思わずしゃがんで話しかけてた。

…まあ、目合った瞬間に走ってどっかに逃げられたけど。

あの日以来卒業まで、もう話すことも目を合わせることもなかったし、クラスや委員が被ることもなかった。

だけどあの涙は、きっと噂のせいだったんだろうって

教室や廊下で肩身狭そうに過ごす笠原を見る度に、
大丈夫か気にかけてしまう自分がいた＿＿＿。

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