13 drops ページ14
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｢雨強くなってきたなー…海琉はカサ持ってきた？｣
海琉 ｢ううん、でも多分持ってきてくれる｣
｢いとこのお姉さんが？｣
海琉 ｢うん。天気分かるんだよAちゃん｣
｢え？Aちゃん？｣
海琉 ｢いとこのお姉さんの名前｣
｢へ、へー。｣
こんなに近くに同じ名前の人がいることってある？
まあ無くもない、か。
海琉の苗字は田村。
あのAちゃんは笠原だし、まあ関係ないっしょ
『海琉くーんお迎え！』
｢あ、はーい！
ほら来たって！いこ｣
海琉 ｢やった、｣
ぱあっと明るくなった顔を見ると、その人とはそれくらい仲がいいんだろうなって。
随分呑気に歩いて、着いた児童館の玄関先。
｢、っえ？！｣
海琉 ｢？｣
｢ちょちょ、ちょっとまって海琉。は、？！｣
A｢えっ、と、、｣
そこに居たのは、海琉が言った通りカサを2本持ったAちゃんで。
そう、俺が知ってる あのAちゃん。
おれ、ちょっとパニック。
｢え、いとこ、なの…？｣
A｢お母さん同士が姉妹、で。｣
｢あ、ああなるほどね、！おれはここでバイトしてて、｣
A｢そ、そうなんだ｣
海琉 ｢知り合いなの？？｣
｢同じ大学なの。｣
海琉 ｢ふーん。帰ろうAちゃん？｣
微妙に気まずい空気に、こぼした苦笑い。
なんかエプロンつけてる姿見られんのは、ちょっとだけってか、普通に恥ずいっす。
A｢あ、うん。ありがとうございました。｣
｢いーえ。またね海琉！｣
海琉 ｢バイバイりゅうせい！｣
｢Aちゃんも、またね…！｣
カサを開きながら、昨日みたいにまた微笑んだAちゃん。
今日はそっと、傘を持った反対のその手を
振り返してくれた。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
