【◇】稲実エースが惚れちゃった (ページ38)

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*成宮side*

楽しい時間もあっという間で
クリスマスパーティーもお開きになった。

みんなで分担して後片付けをして、
俺の今日最後の役目はA先輩を送ること！

もちろん、今日は俺がA先輩を送ることを
雅さん達には根回し済みだ。

「A先輩、帰ろ！！」
『今日は成宮が送ってくれるの？』
「うん！」

『う～さっむ。』
「A先輩ってかなりの寒がりだよね。」
『私夏生まれだもん。寒いの嫌い。』

なんか駄々こねる子供みたいで可愛い。

「あ、そうだヴァイオリン！めっちゃよかった！！
あんな凄い特技あるならもっと早く教えてよ～。」
『そんな自分から言うほどのことでもないし。』
「ほんとA先輩は謙虚だなぁ。
ちょっとは俺のこと見習った方がいいよ。」
『それ自分で言う？』

A先輩はクスクスと笑っている。
出会った時に比べると、本当によく笑ってくれるようになった。

「A先輩、手出して。」
『うん？はい。』
「クリスマスプレゼント。」
『え？私に？？』
「当たり前じゃん！A先輩に渡してんだから！」

どんな反応してくれるかな。
喜んでくれるかな。

『開けていい？』
「開けて開けて！」
『わぁ、かわいい！バレッタだ。』
「先輩髪長いから、色々使えるかなって。」
『うん、嬉しいありがとう。』

思った以上に笑顔で喜んでくれて
心の中でガッツポーズ。

『でも私、成宮に何も用意してない...。』
「そんなのいいよ、俺がいつもお世話になってるお礼！」
『私は、自分がやりたいことやってるだけだよ。』
「でもそのおかげで、野球部全員、A先輩には
本当に助けられてるんだよ。だから、来年もよろしくね。」
『うん...。こちらこそ、よろしくね。』

A先輩を家まで送り届け、学校へ戻る。

プレゼント渡した時のA先輩、可愛かったな～！
これだけは、みんなに秘密にしとこ！！

野球部の寮の近くに戻ると、一人の女の子の姿があった。
こんな時間に誰に用事？？
スルーして寮に戻ろうとすると、俺の名前で呼び止められる。

「成宮君！」
「ん？俺？？」
「あ、あの、ちょっといいかな...。」

これはもしや、告白！？

「なになに？」
「えと、実は私、成宮君のことずっと好きで、
よかったら、私と付き合ってください！！」

クリスマスに告白されちゃった～！

でも俺にはとっくに心に決めた人がいる。
申し訳ないけど、お断りだ。