【◇】稲実エースが惚れちゃった (ページ22)

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私も一通り片づけを終え、帰ろうとしていると
よっしーがやってきた。

「A、そろそろ帰るだろ、送る。」
『うん、ありがとう。』
「お前、目すげぇ腫れてるぞ。」
『雪先輩の引退を二人で惜しんでました。』
「横井先輩のこと大好きだもんなー。」
『そう思うなら、優しくホットタオルくらい用意してよ。』
「......悪い。」
『ふふっ、嘘だよ。さ、帰ろう。』

新チームの始動は3日後。
明日と明後日は、オフが入る。

『よっしーオフはどうするの？』
「あー、まあ明日家帰って1泊ゆっくりしてくっかな。」
『そっか。いよいよ、私たちの代が始まるね。』
「あぁ。来年、甲子園に借りを返さねぇとな。」
『うん。......成宮どんな感じ？』
「帰ってきてそっから部屋に閉じこもったままだな。」
『そっかぁ。今はそっとしといた方がいいかもね。』
「誰も成宮のせいだなんて思ってねぇけど、
でもアイツの性格上、そう思ってんだろうな。」

2日間のオフは、私にとっても束の間の休息だ。
初日はゆっくり過ごし、二日目は学校へ向かう。

夏大の決勝で告白してくれた先輩に返事をするためだ。
先輩は寮生で、実家には後でゆっくり帰るとのことなので
私たちがオフの間に時間を取ってもらった。

「せっかくのオフなのに、出てきてくれてありがとな。」
『いえ、先輩もお疲れ様でした。』
「悔いがないっていったら嘘になるけどな。
けど、力は出し切ったしいい引退になったよ。」
『あの、この前の返事なんですけど....。』
「いきなりあんなこと言って困らせたよな、ごめん。」
『謝らないでください。確かにびっくりしはしましたけど、
みんなが、もちろん私も尊敬してる先輩に、その...気持ちを
伝えてもらえて本当に、嬉しかったです。』
「でも、気持ちには応えられない？」
『.......ごめんなさい。』
「そっか。いや、なんとなくダメだろうな～って気はしてたんだよ。
けど言わなかったら絶対後悔するだろうなって思ってさ。」
『先輩が嫌とかそういうことではなくて、ただ、今後
マネージャーは私だけになるし、まずはしっかり後1年、
みんなのサポートを頑張りたいなって思ってます。』
「如月らしいな。でもあんまり頑張りすぎんなよ。
しんどくなったらいつでもあいつらに頼ればいいからな。」
『はい。ありがとうございます。』