【◇】御幸一也の姉ちゃん (ページ31)

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それぞれの出発ページ31

私は4月からの入社に備えて、3月下旬に引っ越しをする。
今日は、いよいよ家を出る日だ。

『じゃあお父さん、行ってきます！
ちゃんとご飯食べてよ？洗濯や掃除もしっかりしね！』

父「そんなに心配しなくても大丈夫だ。仕事、頑張れよ。
辛くなったら、いつでも帰って来くればいい。
一也、Aの引っ越し準備の手伝い、頼んだぞ。」

一也「任せてよ。」

事前にある程度のところまで、お父さんにも手伝ってもらい
今日は仕事があるようなので、一也と2人で引っ越し作業だ。

一人暮らしで新しい生活ももちろん楽しみだが
いつでも帰れる家があるのは、とても安心する。
これまで育ててくれたお父さんには感謝でいっぱいだ。
これからたくさん親孝行をしていこう。

新しい家で、家具を組み立てたり、荷物を整理する。
そんな中、文句の一つも言わずにせっせと
力仕事をしてくれる一也。
気づけばいつの間にか、頼れる男になっている。

あらかた整理も終わり、二人で昼食をとりながら
一也の今後の話しをする。

『一也、私が連絡したらちゃんと返事してよ？
無視なんかされたら、姉ちゃん泣くからね。』

「ほんとに泣きそうだよな、姉ちゃん。」

『ほんとに泣きますけど何か？
まぁ、さすがに私も入社1年目の時は忙しくて
中々試合見に行ったりできないと思うからさ。
連絡くらいしてよね。』

「分かった分かった。姉ちゃんが試合見に来る前に
まずはレギュラー取らないとな。」

『そういえば、一也の尊敬する先輩、青道にいるんだっけ。』

「そうそう。その人と正捕手争いしたいんだよな～。」

相変わらず、野球のことになると
ペラペラと楽しそうに話す一也。
青道で一也がどれだけ成長するのか、私も楽しみだ。

「じゃあ、俺そろそろ帰るわ。」

『手伝いありがとね。本当に助かった。
ついでにあと一個お願いしていい？』

「いいけど。」

『今から買い物付き合って！欲しいものあるんだ～。』

「え？今から？？」

『うん、そんなに遠くないから！はい、行くよ！！！』

戸締りをして、私は出かける準備もすでに万端。

「準備早ぇな。」

やれやれという顔をしながらも、出かける準備をしているので
ちゃんと付き合ってくれるようだ。

優しき私の弟。らぶ。