【QK】”好きです”についての考察【コラボ企画】

▽ ページ6

「なに、急に」

「いや、ラーメン食べながら行きで須貝さんに聞かれたこと考えてたんですよ」

確かに、黙ってラーメン食ってりゃ考える時間にもなるか。それでいろいろ考えてる間に浮かんだのがさっきの問いかけかい。また随分哲学的な話になってきたな。そういうのあまり俺は得意じゃないんだけど、と思いつつ、うん、と続きを促す。

「私、一人じゃ生きていけないんだなって思って」

「どうしたの、今日随分突拍子もない感じだけど」

「彼氏がいる自分が好きなのか、単純に誰かに傍にいてほしいのか、誰かの彼女って言う肩書に安心してるのかわからないんですけど、一人でいたくないんですよね、多分」

だから男と別れてもすぐに言い寄ってくる別の男と付き合うんですってか。なるほどな、その考えは理解できないけど納得した。

「普通の人って、好きになって、告白して、お付き合いするんですよね。私違くて、好きよりも先に付き合いたいが来ちゃって、まあ付き合ってから好きになればいいかなって思って」

「ほう」

「そんですぐに付き合ってくれる変な人と付き合って、結局好きにはならなくて、時間ばっか無駄にして後悔してるんです」

馬鹿みたいですよね、と自嘲的に笑う彼女。そんな憂いた顔をしないでよ。君には笑っててほしいんだけどな。

「じゃあさ、俺にしとけば」

「…はい？」

「そんな調子だとまた変な男と付き合っちゃうんでしょ。俺にしときなよ」

「…経験則で言うと須貝さんもヤバいやつになりますけど…？」

一度言おうとして、でも俺もヤバいやつと思われるのは困るからって飲み込んだその言葉。でもね、君にはやっぱりこういうしかなさそうなんだよね。

「あんね、対極にあるもんって案外近いんだよ。馬鹿と天才は紙一重って言うでしょ」

「ナイスガイとヤバいやつも紙一重ですか」

「そう言われるとちょっと嫌だけどね」

それでも君が俺のところに来てくれるならいいよ。君がどこかに行かない限り、俺は君を一人にしない。好きなラーメンだって美味しいうちに一緒に食べよう。目の下にそんな隈も作らせない、さっきみたいな悲しそうな笑顔ももうさせない。

「なんでそんなこと言ってくれるんですか」

「…だからさ、それは」

ね、皆まで言わせんなって。

あとがき→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す