すとんずがーるは森本担。 (ページ18)

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18 早く言ってページ18

森本サイド

俺は忘れてたんだ、

彼女が女優だったことを

辛そうな笑顔に気づかなかった、俺はものすごく鈍感だと思う。

ある日、俺が１４くらいになったとき。

思春期ということもあって、少しぐらいしかAとは喋らなかったけど
でもまあ、うまくやってた。

いつしか一緒に帰ってないことへの疑問さえ無くなっていた。

でもとある雨の日、俺はレッスン室にシューズを忘れた。

明日は違うスタジオだったから急いで取りに戻る。

レッスン室までの階段を駆け上り、

息を切らしてドアノブを握った時、ドンッと倒れるような音が聞こえた。

この俺でもわかる、危ないというメッセージ。

『お前なんかコネだろどうせ！』

『女のくせに！』

『慎太郎くんにまで媚び売って！』

『枕でもしたの？』

一瞬にして誰のことかわかってしまった。

女のくせに、ってそりゃあの子しかいないじゃん。

とっさに俺はドアノブを押す。

そこには、あざだらけの体で横たわるしんどそうなAと、ほかのジュニアの人達。

俺は慌てて駆け寄る。

森「A！！」

俺と入れ違いになるようにして、ジュニアが出て行った。

俺は背中でそれを確認すると、彼女の背中を持ち上げて起こす。

「しん、ちゃ…」

森「A…なんで言わなかったの？」

馬鹿な俺を殴りたい。

何が思春期だ、何が女だ、何が男だ。

何がそんなに問題なんだ？

「…慎ちゃん、」

森「A？」

「ありがとう…」

バレることを恐れてか、一切傷がつけられてない綺麗な顔で微笑む。

でもその笑顔は痛々しくて。

この子は俺が守りたい、と。

俺はこの日決心した。

その決意と、彼女の痛々しげな顔に思わず泣いてしまった。

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