近くて遠い Daiki.A

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「うーん、いいんだけどね。もうちょっと濃い色がいいのよね」




『そうですね‥。こちらが現状、一番濃い色になるんですけども‥』





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床の色ひとつで、そんなに悩まないでよ。






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『あまり濃すぎると、部屋が暗い印象になると思いますよ？』




「でも、明るい色って、汚れが目立つじゃない？掃除が大変なのよね」





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だったらいっそ、真っ黒に塗ってしまえ。





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『わかりました。一度持ち帰らせてください。他のメーカーのサンプルも探してみます。』




「そう？悪いわね。」




『いえ、一生のものですから。ご納得していただけるまでお付き合いいたします。』





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私が働いてるのは、この辺りではそこそこ大手の不動産会社。

中古住宅やマンションを中心に、

売主と買主をつなぐ、いわば仲介役だ。



そのなかで、
私がいるのは、リフォームを扱う部署。


中古で購入した家を、まるで新築のようにピカピカにするのが、この部署の仕事なのだ。





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