命をも盗む大怪盗 【文スト】

盗み_35 ページ36

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＿＿＿＿＿＿遡ること十数分前、





貴方side



落ち着け、如何すればこの牢から出られる


考えれば分かる筈


目隠しをされた状態で異能を使わずに脱出する方法を………



……………ん？？



そこで私ははたと気がついた。



目を開ける


何も見えない


其れは目隠しがついているから



＿＿＿何だ、簡単なことじゃないか





『 異能力＿＿" 一寸の夢 " ＿＿＿ 』





私は異能を使って視界いっぱいに広がる布と自分の場所を交換した。


容易な事だ、目隠しで何も見えないのなら目隠しと場所を交換すれば善い話



私ってば天才！？





『 ………却説と、

大怪盗なら誰でもできる



＿＿＿ " 逃走 " の時間だね 』







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……と云う感じで騒ぎに乗じて脱出できたは善いけども



思ったより狂人が怖いなァ…


そして想像以上にヨコハマが焼けてる



其れも之も、あの組合とか云う組織の所為なのだろうけど



橙の空を見上げ、悠々と泳いでいる鯨を睨む。





『 こりゃまた、

金持ちと云うのは何を考えているのか分からないねェ。


常識を教える以前の問題だ 』





死んでも人にモノを教えるなんてしたくないけど


弱ったなぁ…

空の上だと流石の大怪盗でも手が出ない



正確には " 出せない " だが。

地下牢から此処まで脱出するまでに異能を使った回数は二回。



既に体力が限界に近いこの状態で彼処(鯨)に乗り込んでも大して役に立たずに返り討ちに遭うだけだし…



………。





『 こう云う時は…… 』





中島side



白鯨からの銃撃で高潮の如く視界が揺れる。





「 ぐ……ッ！！ 」





あぁ、拙い……


…気絶する



意識を失う寸前でそんなことを思い乍らゆっくりと瞼を力なく閉じる


其の、直前に僕は見た。



狂った人達から身を呈して市民を守る、


Aさんの姿を。





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