命をも盗む大怪盗 【文スト】

盗み_03 ページ4

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貴方side



繁華街を歩く


其の足取りは何もすることのない、一般女性を装って。



今日は誰に贈り物(プレゼント)しようかなぁ…



そんなことを考え乍楽しそうに辺りの店を見回す、



＿＿＿＿演技(フリ)をする。





「 太宰さん！ちょっと待ってくださいよ！ 」





おや？



太宰さん、と呼ぶ声はガタガタと斜めに並んだ前髪が特徴の男の子で腰から有り余った洋帯(ベルト)が伸びている。



まるで虎みたい 、





「 ほらほら、早く来ないと大怪盗が逃げてしまうよ？ 」





虎の先を歩くのは私と同じぐらいの齢だろうか、蓬髪の奇妙な男だった。



何故、全身に包帯を？



奇妙な点はここだ、
この男を見たら誰だって第一に思うのは前言の通りだろう



…………まぁいいや、丁度相手を探してたし

この大怪盗A様の愛好家(ファン)なら、私からの贈り物にさぞ喜んでくれるだろう！



其の包帯くんと擦れ違う瞬間、


私は例の宝石を彼の洋袴(ズボン)のポケットに忍ばせた。





＿＿＿之が失態であることも知らずに。





〇 〇 〇





『 はぁ……疲れだァ……… 』





全く災難な目に遭ったものだ


真逆道端で殺人屋に命を狙われるなんて





『 物騒な世の中だなぁ… 』





等と云い乍ら甚だしい疲れを背負い、男として家の扉を開ける。



鍵穴に鍵を差し込み、左へ回す


＿＿＿空回り。



其れは " 鍵が開けられている " 事を指していた





『 ……………。』





一粍(ミリ)も表情筋を動かさず、鍵が開いていることにも動じずに ただいまー 、と云ってリビングへ足を進める。


案の定、人間が侵入していた


だが其れは殺人屋でも警察でもなく、





『 ………うん？ 』





今の私(男の私)では知らない筈の包帯くんが居て


呑気にお酒を飲んで寛いでいた。





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