命をも盗む大怪盗 【文スト】

盗み_19 ページ20

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中原side





「 ＿＿＿襲撃成功、捕縛失敗。

優秀な中也君でこの結果だと大怪盗はさぞ鬼ごっこが得意なのだろうね

彼の異能力の詳細は分かったかい？」





難しい顔をする首領に俺は更に残念な報告をしなくてはならない。



其れも之も、全て取り逃した所為だって事は自分でも分かッてる


一番許せねえのは……


怪盗をあのクソ太宰に捕られたってことだ



あの人選と配置、誘導の仕方、絶対ェ太宰のモン(作戦)だ





「 詳細は未だ分かってません

昨夜の盗みの後、怪盗は探偵社に捕まったそうです 」





大怪盗の異能力は今までに発動した実例が少なく、調べようにも調べることが出来なかった。


見たことないものを絵に描く行為に近ェだろってぐらい、難儀なものだッた



" 探偵社 " 、と聞いて首領も太宰が絡んでいることに気がついたようで 困ったねぇ… 、と苦しい声を挙げる。



癪だが彼奴の策略は人間の域を超えている


其れは " 相棒 " として隣に居た俺が一番分かッてる



癪だがな



依然として静かに考えを練る首領に俺は一つ、ずっと気になっていた事を尋ねてみた。



" 何故あの怪盗に固執するのか " 、と。


俺の疑問に首領は黒く、怪しく微笑んだ。





「 なぁに、ちょっとした " 賭け " というものだよ 」





「 はぁ……賭け、ですか 」





首領が賭けなんて珍しい、等と考えていると首領室の扉が開き、後ろから気品のある声がした。





「 太宰は昔から何時も死にたがっておったじゃろう？

其れはマフィアを抜けた今でも変わらなんだ 」





姐さん？何故此方へ？、と云えば姐さんは半ばキレながら鏡花と云う小娘を探偵社から連れ戻す為に許可を貰いに来たのだと語る。



あァ、姐さんが可愛がってたあの暗殺者か



姐さんはこれまでも同様の事で首領を訪ねてはいたものの、今だ許可が出てないらしい。



先刻の姐さんの言葉に俺は太宰が態々捕まりに来た時の会話を想起する



確かあン時は……





「 美女との心中が何とかッてほざいてたっけか 」





「 其れじゃ、


鴎外殿は太宰の坊主の心中ジサツを利用する心算でいるんじゃよ


心中は一人ではできないからのう 」





姐さんの説明に首領の笑みが深まる。

どうやら当たっていたらしい

流石姐さん、鋭いな





「 若し例の怪盗が太宰のお気に入りに成ッていたら、」





" 怪盗は太宰の弱点 " と云うことか





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