【REBORN!】空を仰いで

#31 ページ31

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時は朝まで遡る。

重たいガラス戸を閉めて、オレはまた溜息を吐いた。

半年の休学は終わりを告げ、またこの忌々しいマフィア育成の学校に戻って来たのだ。
数年前、先代の9代目＿＿オレの親父が亡くなって、一悶着あったものの10代目ボスに就任したオレは代替わりの色々な整理をしたり、若いボスであるオレを侮り攻めてくる他のファミリーを撃退しつつ時に情を持って仲間にしたりなど忙しい日々を送っていた。
が、まだ学生であるオレはそれら全てをこなすのは難しい。優秀な部下がいたとしても、それで何とかなる程の業務量ではなかったのだ。

それ故に今更な気もするが半年の間休学し書類関係の整理も程なく終わり、その後各同盟ファミリーのボスのところへ挨拶に伺った。済んだ今でこそ軽く言ってしまえるが、格式ある大マフィアのボス達への挨拶。
マフィアの礼儀だとか、ボスになるつもりはついこの前まで無かったオレが知る由もなかったから、下手すれば消されるのではないか……と震えたが、なんとか優秀な家庭教師様のお陰で無事に済んだ。

そういえば、この家庭教師だが、雇った親父はもういなくなってしまったし、オレもボスに就任したのだからもう必要ないのでは……と聞いたのだが、「あめーぞ。9代目の依頼はお前を“立派な”ボスにすることだ」……とのことで。一度は姿を消したのだがまだまだオレのところに居座るようだ。

話を戻そう。半年間の休学は家庭教師に扱かれ散々な日々になると思えた。が、思いもよらない出会いがあり、散々……ではあったが、それでも充実した日々を過ごせた。留学生であるその彼女も9月からは学校に通うということで、中々会えなくなってしまうものの連絡先を知れただけで安心するものである。


そう、思いを馳せながら教室の扉を開けると、自然と自分に視線が集まる。
そして視線は余韻を残し、遠巻きにこそこそと囁いたり鼻で笑ったりした。これは覚悟していたことだ。へなちょこと言われるオレが、突然ボスに就任し休学までとったのだから、『あんなのがやっていけるのか？』と笑われているのだろう。



そうして、居心地悪くも無事に授業を受け終えたので荷物をまとめそそくさと教室を出ようとした時に何気ない、噂事を話すクラスメイトの声が耳に飛び込んで来た。それは『東洋人の女が＿＿』というものだった。普段なら気に止めないが、その言葉は引っかかる。

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