番外編・いたずら好きの弔くん ページ34
「弔さん、今日こそその口を保湿させてくださいな」
「断る」
じり、と私が一歩近づくと、弔さんは同じ様に一歩下がる。
「なんで嫌なの！唇痛くない？！」
「ベタベタするから嫌いなんだよ」
「理由しょーもな！成人男性でしょそのくらい我慢しなよ自分の為だよ！」
「困ってないからこのままでいーんだよ！」
前回リップクリームを渡して粉にされた私は再度新しいリップをもって弔さんに迫っていた。
だって気になるんだもんガサガサのあの口。
「弔くん往生際が悪いですよ」
後ろからはトガちゃんが野次と言う名の後援を飛ばしてくる。
いいぞトガちゃん！もっと言ってやれ！と思っていると、荼毘さんがどうでも良さそうな口調でぼそっと言う。
「あいつあれ以上無理に近づいたら消されるんじゃねぇの？」
「荼毘さん今ぼそっとなんて言った？？？」
怖い事言ったの聞こえた気がしたんだけど。聞こえなかったフリしない方がいい事言った気がするんだけど？？？
「弔さんまさか私の事消そうとか思ってないよね？」
「……ああ」
「間が怖い！それ思ってたやつじゃん！？」
そうされる前に個性使ってなんとか回避するけどね。
「わかった、こうしよう。ゲームで対決して私が勝ったらリップ塗らせて」
「俺が勝ったらどうするんだよ」
「弔くんにリップ貸す、塗らせてあげる」
「却下だ」
「ぶー！！！」
何で〜！と弔くんに抗議する後ろでトガちゃんと荼毘さんが話していた。
「ねぇ荼毘くん、Aちゃんっておバカですよね」
「あれは救いようがねぇ」
「ねぇ聞こえてるよ？」
振り返らずに言うと荼毘さんがさらっとさらに言うので私は振り返った。
「聞こえるように言ってんだよ」
「会話に混ぜてほしいならそう言いなよ」
「うぜェ」
「ツンデレ！」
「……」
荼毘さんにまた個性をかけてやろうかと思案していると真後ろに人の気配がした。
私たちの会話を黙って聞きながら近づいてきた弔さんだ。私が突然の気配にパッと顔をあげて弔さんを見ると、弔さんも見下ろすように私を見つめていた。
弔さんは私の手からリップを抜き取りついでに私のあごに手を添えた。
にやにやしているところからして、何か企んでいるのだろうと思っていたら、弔さんが私にだけ聞こえる声でぼそっと「乗ってこい」と言った。
「Aにならリップ、塗らせてやってもいいよ」
唇のすぐ下を弔さんが撫でる。なるほど理解した。
「……わかった」
私はそう言って笑うと、自分の唇にリップを塗った。
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ナナシ - すっごく面白かったです！読み切ってしまったのが残念に思うくらいです。心地よいドキドキ感が味わえて楽しかったです。絶対また読みます！ (2023年4月4日 2時) (
レス) @page40 id: d5c4f7e5a3 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉明るくクスッと笑えるあなたの作品が大好きで毎日更新を心待ちにしていました。それがなくなると思うと少し寂しいです。凄く面白い作品です。お疲れ様でした🍵 (2023年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
はないかだ(プロフ) - タイトル回収！！しかもヒロアカアニメと同じタイミングとか！！！図ってましたか？？ (2023年3月18日 22時) (レス) @page32 id: d9e7127375 (このIDを非表示/違反報告)
春風いちご(プロフ) - トガちゃん可愛いっ！！尊すぎるぅ… (2023年2月26日 15時) (レス) @page22 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - コメント失礼します。先ほどTwitterをフォローさせていただきました。もしよろしければフォロバよろしくお願いします。この作品とても楽しみに読ませていただいてます。頑張ってください！ (2023年2月13日 14時) (レス) @page12 id: fd40c107eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2023年1月28日 11時
