思考の末 ページ27
「ごめんなさい。私、敵連合には入れない。貴方達の事は好きだけど、私の今の居場所でまだやる事があるから。」
三日後、私は屋敷を訪れた。昨日出会った荼毘さんに「明日行くからしくよろ」と伝えておいたのだが、しっかり伝書鳩になってくれていたようで、弔さんとトガちゃんがそこにいた。
「そうか、残念だよ」
そう言って弔さんは立ち上がる。
分かってる、断った以上、殺しておかないといけないと思ったんだろう。甘んじてそれを受ける気はないが。
「…ごめんね、“弔さん”」
「謝らなくていい、知ってたし。」
「えっ」
どういうことだ、と思っていると、いつの間にか目の前に立っていた弔さんが、私の頭をポンと軽く撫でて、顔に何やら不気味な手を付けるとドアへ向かっていく。
「お前は“トガのお友達”なんだろ？仲間の大事な奴には手をあげたりしないさ。お前がいた方が面白いだろうしな」
後ろ手にゆるゆるとまたなと手を振り弔さんが扉を開けようとした時だった。
「おいリーダー！」
「ッたァ？！」
バンッと荼毘さんが扉を勢いよく開けた。
「あ？」
ドアに何かがぶつかった感触を不思議に思ったのだろう。荼毘さんが押し開けた扉を少し引くと、心底不愉快だと、ぶちギレ3秒前の顔をした弔さんと荼毘さんの目が合う。
「何してんだよリーダー」
「こっちのセリフなんだよ」
弔さんの怒りに震えるような声に、私とトガちゃんはお互いを見つめ、フッと吹き出した。
「ごめん！ピンチだと思って弔さんに個性かけちゃった」
「かなり大きい音でゴンって言いましたけど弔くん大丈夫ですか？」
笑うのをこらえて言うも、それも弔くんは気に入らなかったようだ。
「お前ら全員ぶっ殺してやる」
「目がガチだよ助けて荼毘さん」
わーわー騒ぎながらゲームをした。対戦系のスマホゲームだ。弔さんの殺してやるはゲームでのお話だった。
日が暮れだした頃、荼毘さんが送ってくれると言うのでお言葉に甘えることになった。人通りの少ない道を選ぶので、かなり暗い道だ。
「荼毘さん、弔さんにあの事伝えてくれた？」
三日前に言った事。私に用があって橘川さんや他にも私の友達に手を出すのはやめてほしいという事だ。正直もうそんなことはしないだろうと思っても、約束したのだから言わねばと思った。
「あぁ、手を出す気はないってよ」
「良かった」
家に着き、玄関の扉を開けた頃には荼毘さんは歩き出していた。私はその後姿を少し見つめ、ふぅ、と息を吐いて、ただいま、と玄関を閉めた。
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ナナシ - すっごく面白かったです！読み切ってしまったのが残念に思うくらいです。心地よいドキドキ感が味わえて楽しかったです。絶対また読みます！ (2023年4月4日 2時) (
レス) @page40 id: d5c4f7e5a3 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉明るくクスッと笑えるあなたの作品が大好きで毎日更新を心待ちにしていました。それがなくなると思うと少し寂しいです。凄く面白い作品です。お疲れ様でした🍵 (2023年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
はないかだ(プロフ) - タイトル回収！！しかもヒロアカアニメと同じタイミングとか！！！図ってましたか？？ (2023年3月18日 22時) (レス) @page32 id: d9e7127375 (このIDを非表示/違反報告)
春風いちご(プロフ) - トガちゃん可愛いっ！！尊すぎるぅ… (2023年2月26日 15時) (レス) @page22 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - コメント失礼します。先ほどTwitterをフォローさせていただきました。もしよろしければフォロバよろしくお願いします。この作品とても楽しみに読ませていただいてます。頑張ってください！ (2023年2月13日 14時) (レス) @page12 id: fd40c107eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2023年1月28日 11時
