送り狼ってなんだろな ページ25
屋敷を出てから続く無言。
なんだか気まずくなってしまう。いつもはこんなことなかったのにな。
その無言の気まずさは荼毘さんだって少しは同じだろう。あ。
そうだ、“いつも通り”だ。考えるのは1人でもできる、ならまず今はこの雰囲気をどうにかしようと言うのが結論だった。
ならば、と切り出すのは先ほどの言葉について。
「のぅのぅ、荼毘さんや、送り狼とは何かね？」
とても不快な会話という事は分かっても、言葉の意味までは知らなかった。
ちらりと視線を一瞬だけこちらに向けて前を見る。
「……ガキは知らなくていい事だ」
「なるほどえっちぃ事か」
「……」
荼毘さんは眉を寄せたあとやる気のなさそうな表情で少し顔を逸らす。無言は肯定ってママが言ってた。
「“荼毘さん”は私であんな事やこんな事考えてるのか、そうか〜」
荼毘さんが前を見ずに歩いているのをいい事に、個性をサラっと使ってみた。だって、近くに電柱があるから。
ちょっとしたいたずら心だ。
「あ。荼毘さん前」
「あ？」
荼毘さんは電柱にはぶつからなかった。代わりに。
「荼毘さんくっさいよ……」
犬の糞を盛大に踏んだ。それはもう、本当に盛大に。ぐちゃッと。
「……おいバカ女」
「誰の事かな」
「てめぇまたやっただろ」
「何のことかなぁ〜？！」
糞まみれのブーツで荼毘さんはわなわなと肩を震わせている。
こういう状況知ってる、逃げるが勝ちと言う奴。タッと走りだした私を追いかけ全力で走ってくる荼毘さん。いや足早くない？
速度を上げて走った私は一瞬、気付くのに遅れた。
「ｯおい待てA！」
信号が赤だって事。
ハッとしてももう遅い。何とか渡り切ってしまおうとして足がもつれて転んでしまった。外はもう薄暗く、車からは死角だろう。
ぎゅっと目を閉じた時思い出した。お母さんが昔言ってたこと。
『いい？Aの個性は使いすぎると自分に跳ね返ってきて、貴方が辛い思いをするから気を付けなきゃダメよ』
どういう意味だろうと思っていたそれは、きっと、私が最悪のドジを踏むってことだったんだな。
でもいくらドジったからって、赤信号に飛び出すのはやばいわ。
もっとわかりやすく説明してよお母さん、てか、キャパ来たら死ぬことになるとか思わないし、流石に消耗品過ぎるでしょ。
あーあ、荼毘さんもっとからかうつもりだったのに、橘川さんの件だってお願いしなきゃいけなかったのに。
ドンッと強い衝撃が走って、熱くなる感覚が体を支配した。
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ナナシ - すっごく面白かったです！読み切ってしまったのが残念に思うくらいです。心地よいドキドキ感が味わえて楽しかったです。絶対また読みます！ (2023年4月4日 2時) (
レス) @page40 id: d5c4f7e5a3 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉明るくクスッと笑えるあなたの作品が大好きで毎日更新を心待ちにしていました。それがなくなると思うと少し寂しいです。凄く面白い作品です。お疲れ様でした🍵 (2023年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
はないかだ(プロフ) - タイトル回収！！しかもヒロアカアニメと同じタイミングとか！！！図ってましたか？？ (2023年3月18日 22時) (レス) @page32 id: d9e7127375 (このIDを非表示/違反報告)
春風いちご(プロフ) - トガちゃん可愛いっ！！尊すぎるぅ… (2023年2月26日 15時) (レス) @page22 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - コメント失礼します。先ほどTwitterをフォローさせていただきました。もしよろしければフォロバよろしくお願いします。この作品とても楽しみに読ませていただいてます。頑張ってください！ (2023年2月13日 14時) (レス) @page12 id: fd40c107eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2023年1月28日 11時
