【UT】SUNRISE/SUNSET2【男主】

線 ページ6

彼の笑みを、言葉を聞いてしまったら、再び涙がボロボロと溢れてきた。
今彼がしてくれた話も私の理解の外にあって、正直全く理解できていない。
でも、彼がずっと、気の遠くなる時間私を探し続けていてくれた事だけは理解できて、それが何故かとても嬉しくて、泣いてしまった。
確かに私は彼を守ろうとした、けれど守り切る事はできなかったのに、何故そこまでするのだろう。
それほどの時間を掛ける方など、私にはないと言うのに。

『ゔ、ゔぅーっ…』

しゃくりあげながら手のひらで涙を拭う。
みっともなく泣いてしまっている私を、どこか愛おしそうに見つめながら頭を撫でてくれる彼は、そのまま言葉を続ける。

「きっとアンタは、"本当の初めて"の世界に、"1回目"の世界に接続されちまったんだろうな。…何千何万と繰り返されたせいで生じたタイムラインの歪みにアンタが引き摺り込まれたからなのか、それとも…俺と出会って因果が出来ちまったせいなのかはわからないけどさ」

柔らかいミトンをはめた手が、私の頬を伝う涙を拭う。

「ほんとはさ、俺も他のみんなと同じで繰り返しには気付けないんだ。"前回"の俺が記録を残してるから、それを見て、ああ…また戻されたのかって認識してるだけなんだ。…なのにさ、へへ…おかしいよな。本当なら忘れているはずの"1回目"を、あの殺戮が行われた世界線の事を、アンタに助けてもらった事を、どうしてか俺は覚えてたんだ。…何でだろうな?」

すりすり、いくら泣いても泣き止まない私の頬に彼が頬を擦り寄せてくる。
彼の頬は骨だから、ツルツルしていて少し固かった。

「2回目の世界が始まった瞬間、びっくりしたよ。1回目の事を、アンタの事を覚えていたから。…2回目の世界では、アイツ…フリスクは、何を思ったのかモンスターを地上に解放してくれた…1回目では皆殺しにしたくせにな…へへ。…だから俺は、アンタを探したんだ。アンタが覚えてなくても構わなかった。ただ一言、ありがとうって伝えたくて、何年も時間を掛けて探したんだ」

コツン、私のおでこに彼のおでこがぶつかる。
すぐ目の前に、彼の顔がある。
彼の顔をよく見ると、少しの涙で濡れていた。
私の流す涙のせいかと思ったが、どうやら違うらしい。
彼も泣いていたのだ。

「でも結局アンタには会えなくて、世界は巻き戻された。3回目の世界でもアンタを探した。4回、5回、...10回、20回、…何度かそれっぽい人間を見つけたけど、結局アンタじゃなかった」

諦→←廻

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す