星 ページ18
胃袋が浮き上がる感覚。
身の回りを吹き荒れる暴風。
クルクルと回る視界、そしてその視界に映り込む……異常に距離が近い月。
これは……これは確実に……!
─私達は今空に居る…!!
『ヴァっ!? アッ、ェッ……ぉああぁあぁぁあああ!??!?!!?!』
「ぁははは!! すげぇ声!! あ、絶対手は離さないでくれよな、離れたらアンタの事連れて帰れなくなるから。因みに今高度7500mで、アンタを連れて帰れなかったらアンタは地面に叩きつけられてTHE・ENDって感じ」
『人間が活動できるギリギリの高度じゃないですか!! 息しにくいと思った!!』
サンズさんの両手を強く掴み引き寄せて、そのまま胸の中にしまい込む。
グルグルと回る視界には月と地上の街並みの明かりが映り込んでは消えて映り込んでは消えて、正直三半規管が弱い私には今の状況は軽い拷問だったので、目を強く閉じる。
『ひぎっ、し、死ぬっ……くるしっ、三半規管がっ、ゥブォェッ』
ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
吹き荒れる風に体をもみくちゃにされて、うまく体勢を整えられない。
右足っ、右足を踏ん張って背中に力を入れればっ……!
体制が整った!!
これで三半規管が死なずに済む!!
…あっ、そう言えばサンズさんは大丈夫だろうか、流石の彼も三半規管がめちゃくちゃになってないかな…。
『サンズさっ…!』
ぱちっと目を開けて、腕の中のサンズさんを見ようとした。
でも、目前に広がった光景に言葉が詰まってしまう。
いつもより大きくて、クレーターがよく見える月。
その月の周りをキラキラと彩る、無数の星々。
普段は街の明かりでかき消されてしまっていた星々が、こんなにも近くに、ハッキリと見えていた。
─……綺麗だ……。
息苦しさも、体を引っ掻き回す暴風も、寒さも…何もかも全て忘れて、満点の星々に目を奪われる。
これか、これが彼が言っていたプラネタリウム……すごい、すごく綺麗だ…。
─…ずっと、ずっとこの景色を彼と一緒に見ていたいな…。
「…時間切れだな、帰るぜ」
私達の体が雲の中へ突入し、目前に広がっていた星々が白いモヤの向こう側へ消えた時彼の声が聞こえ、再び私の視界は明滅した。
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春朧 - 素晴らしい作品をありがとうございます!!この作品を見つけてから何回も見返して楽しんでます!!これからも応援してます (2022年8月16日 11時) (レス) id: 27ed0134a4 (このIDを非表示/違反報告)
名無し56929号(プロフ) - この作品に出会ってはじめから一気読みしました…一番好きな小説ですありがとうございます… (2022年6月16日 12時) (レス) @page23 id: bb65216783 (このIDを非表示/違反報告)
くろほたる(プロフ) - お陰様で新たな扉が破かれました。お話開く度一喜一憂してしまいます。sansの原作っぽさを再現しつつ違和感皆無に仕上げるの感動しました…!おじさん(主人公)かわカッコでsansもカッコかわなの凄く微笑ましいです悶えます…!!長文失礼しました。おかえりなさい…!! (2022年5月29日 23時) (レス) id: c41e537264 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - 黒曜楼乱さん» ただいまですー☺️ (2022年5月17日 23時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくんさん» えへへ、遅くなってすみません☺️ (2022年5月17日 23時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢川 | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/item/da3d119d46aa3a420b503d00d3fa8e22/1637423635...
作成日時:2021年11月29日 14時