58、過去と今4 ページ16
タンブラーをそっと撫でたAは、少しだけ微笑む。
「…すごく優しい奴だって、分かってるけど」
「うん」
「だけど、私にだけ冷たい態度だし…諸伏に笑いかける、みたいに優しく微笑んでくれた事もないよ?…凡そ好きな女子に取る態度ではないですよね!?諸伏さん!」
「それは…確かに」
俺や萩原は、好きな子にはとことん甘くしてしまうんだろうけど。
ゼロに関しては、好きだから…ツンツンしてるだけなんだよなぁ。
Aが絡まなければ、どこを取っても " 完璧 " な親友。
もしかしたら、ゼロにとって唯一の弱点かもしれないな。この子は。
何を言うべきか考えているうちに、彼女が慌てたように言葉を続ける。
「そ、それに!" トオルクン " って、名前で呼ぶと死ぬほど不機嫌になる」
「あはは!そうなんだ」
「それって…偽名ですら名前で呼ばれたくないって事でしょ?どう考えても好きじゃな…」
「違う。呼ばれたいんだよ。」
Aはバカだなぁ。
可愛いね。
「…へ?」
「名前を呼んで欲しいんだ。」
「いや…だ…から、呼んでるよ? " トオル " …」
「それは偽名だろ?」
「…」
「偽名ですら、じゃない。 " 偽名だから " 不機嫌になる」
俺の言いたいことがわかったらしい彼女が、顔を真っ赤にして俯く。
大方、本名より偽名の方を先に名前で呼ばれて面白くなかったんだろうな。
いつか『零』って、呼んでやって?
「あぁ、そうだ。この前水族館デートに行った時、爆発事件が起こっただろ?」
「うん。 " 公安の案件 " …って」
「確かにそうだけど、あの場で事件が起きたのは本当に偶然。俺が保証する」
「偶然…」
「調査のために水族館に行った訳じゃないよ。ゼロにとっては純粋にデートだった。…あいつも気に病んでたから先に言っておくな」
『公安が絡む事件なんか起きて、Aはきっと…捜査に付き合わされたと思ってるだろうな』。
ため息混じりに呟いたゼロの顔を思い出しながら彼女の頭を撫でれば、コクリと頷いた。
「はい、次。」
「わ、私の対応が面倒になると安室透で逃げようとする」
「例えば?」
「降谷の口調で話してたのに、突然トオルクンの話し方になったり…」
「うん」
「萩原に『ハグしてやって』って言われた降谷が…急に笑顔で『抱きしめましょうか?』って。嫌なら嫌って素直に言えばいいのに…!」
萩原、そんな事をゼロに言いに戻ったのか。
" Aに嫌われたかな " と焦ってた理由はこれか、と苦笑。
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re(プロフ) - 景璃さん» 景璃さん、コメントありがとうございます…!!萩原さんには申し訳ない作品で…😭作者も書きながら「萩ぃぃぃ!😭😭ごめぇぇん!😭😭」と思っておりました…🤣 こちらこそ、最後までお付き合い頂き、感謝です…!✨ (2023年3月9日 23時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
景璃(プロフ) - 完結おめでとうございます。お疲れ様です。私は降谷オタクですし、物語も大好きなのですが、一言だけ言わせてください。萩ぃぃぃぃお前ぇぇぇ😭😭😭😭😭😭以上です。素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月9日 17時) (レス) @page27 id: b555acc3f2 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - まみこさん» まみこ様、最後までお付き合い下さり、コメントまで本当にありがとうございます!沢山褒めて頂いて、涙が出るほど嬉しいです…😭✨夢小説を書いて良かった!と心から思えました(*^^*)✨温かなお言葉、本当にありがとうございます! (2023年3月6日 9時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - コメント遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!!re様の作品大好きで、表現とか語彙力とか豊富で……。そして何より、設定もとても素敵で……。夢小説執筆終了は少し寂しいですが、お疲れ様でした。これからも読み続けます!ありがとうございました。 (2023年3月5日 21時) (レス) id: 2e6caf5e65 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - MUTSUさん» きゃー!MUTSUさん…!!お久しぶりです😭✨またコメントを頂けるとは思っていなかったので、涙が出るほど嬉しいです…(;-;)✨温かなお言葉、本当にありがとうございます!これからも頑張りますので、お付き合い頂けたら嬉しいです(*^^*) (2023年2月15日 20時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2023年1月17日 19時