素直な君との攻防戦【降谷零】

18、隠してきた気持ち ページ18

｢やだやだ…ｯ！！！絶対嫌…｣

｢おい、もうゲロっちまえよ。俺らだって、別にお前をからかいてぇ訳じゃねぇんだ｣
｢…｣
｢そうだよAちゃん。信じて？｣
｢……｣


ネタになりそうな面白いコトが何よりも好きな、こいつらが？

私をからかいたい訳じゃないって、本気？


急にそんなこと言われたって…

口を閉ざしたい気持ちの現れか、無意識に手を強く握っていたようで。
温かな手にそっと両手を包まれて、ハッと顔を上げる。


｢本当だよ。心配しなくて大丈夫｣
｢…諸伏｣
｢みんな、Aを大切に思ってるから｣


もう。

諸伏に優しく微笑まれると、意地を張ってる自分が馬鹿らしく思えてくる。



…だけど、ずっとずっと

心の奥底に隠し続けてきた感情なの。自分でも見ないふりをしてきた、のに、

今更その気持ちにちゃんと向き合うなんて、頭がごちゃごちゃで目眩がするんだ。


｢Aを傷つけるようなことは、絶対にしない｣


諸伏に優しく諭されても言葉が続かず。

手元に視線を落としてから、溶けた氷ですっかり薄まったコーヒーを一気に喉へ流し込んだ。


……あぁ、美味しくない。


降谷のコーヒーが飲みたい。









ほんの数分前のこと。

取り立て屋ごっこをする爆処組に玄関で騒がれ続けるのも困るので、仕方なく3人を部屋へと招き入れた。
(というか萩原が勝手に開けた)


玄関を施錠しながら、ポケットに手を突っ込む。

いつの間にか切れていた不在着信を確認すると、記憶にある数字の羅列が映し出されていて。

あいつの事を考えた直後に連絡してくるなんて、エスパーか…怖。

『ねぇ諸伏…降谷から電話きてた』

彼のスーツの袖を引っ張りながらそう小声で伝えると、優しく笑って『ん。俺からすぐに連絡入れておく』と頭をポンポン。

諸伏がそう言うなら良いか。と頷いて、再びスマホをポケットに仕舞った。



そしてリビングに3人が落ち着いた直後、取り調べ(というより尋問？)が始まり……

" 昼間の電話の続き。詳しく教えて "

って言われても。

…嫌に決まってるでしょ。



｢A｣
｢わ、わたし…君達に話すことなんて、本当に無いよ｣

｢降谷ちゃんのこと、好きなの？｣
｢…｣


私を揶揄うにしては、やっぱり…萩原の声色が余りにも優しすぎて。
3人は真剣に私の気持ちを聞きたいんだって分かってしまったから、薄く涙が滲んだ。

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